DAY 2 (10/16)

移動で人を幸せに。モビリティの進化を支えるJapanTaxiの取り組み

JapanTaxi、川鍋一朗社長


JapaTaxiはモビリティーの進化を講演

 日本のタクシー産業は大正元年(1912年)に有楽町で2台のタクシーによりスタートし、今年で108年目を迎える。
 タクシー業界の最初のテクノロジーの進化はタクシー無線。00年代に入り、GPSが付くようになり、10年ほど前からスマホの普及が始まり、ようやく車の位置情報と乗車する人の位置情報の両方がデジタル化されて把握できるようになった。
 その後、(JapanTaxiの親会社の)日本交通はタクシー配車アプリをスタートさせた。SNSで話題となり、東京以外でも使えるようにしたいという要望があったため、全国タクシー配車アプリを作った。8年間を経て、現在は全国の約3分の1のタクシーがこのアプリを使えるようになっている。今年前半の日本交通の予約の内訳は電話が24.6%、アプリが75.4%になっている。まだ使っていない人がいたら、だまされたと思ってぜひ使ってみてほしい。
 アプリを使うと、配車だけでなく、乗車中に決済を完了でき、到着したらすぐに降りることができるというのも非常に利用者には便利になる。
 さらに、配車アプリだけでなく、業界唯一のタクシー車載セルフレジ型マルチ決済端末「決済機付きタブレット」も開発した。日本で普及している決済方法のほとんどをカバーできる。そしてこの端末を普及させるため、サイネージ広告を入れて、広告収入をタクシー会社に支払うようにしたことで、普及の加速につながっている。今後の展開としては、タブレットへの音声通訳機能の追加も予定している。


JapaTaxiの川鍋一朗社長

 タクシーは一般の車の6倍の距離を走るといわれ、物理的に日本中で最もたくさん走っている存在であるため、これを利用したいと考えている。一つは子供の見守り機能。もう一つは業界初のネットワーク型ドライブレコーダー。タクシー車両がセンシングカーになり、タクシーをセンサーとして使えるようになると、いろいろなことができるようになる。
 その次のステップとしては、オンデマンド・モビリティのすべてを満たしていくこと。自動運転に向けた取り組みとしては、タクシーの走行量の多さを考えると、自動運転用の3Dマップを作る際に、タクシーを活用できると思う。そして、私は将来のタクシーは「ラストワンマイルのライフライン」となっていくと考えている。人口減少で全国のバス路線の8割が赤字であるという現状を考えると、将来のタクシーには全ての要素を入れるしかない。相乗りにすることや、宅配便、コンビニ、郵便などを全て一緒にして、事業用免許を統一する。タクシー、バス、トラックなどを共通の事業免許とし、地域の生活を支える存在として社会の役に立っていくことが望ましいと考えている。