V-factory対応マシンによりスマートな生産を実現
金属加工機械メーカーのアマダ(神奈川県伊勢原市)は97年に工場のネットワーク化に取り組み始めて以降、デジタル化を積極的に進め、17年からIoT技術を活用した次世代スマート工場の仕組み「V-factory」の展開を本格的に始めている。
V-factoryは金属加工に必要となる製造設計から生産計画の管理、設備の稼働状況の監視、安定稼働のためのサポートまでIoTにより総合的に支援するとともに、工場の最適化を実現するコンサルティングも行う。執行役員の横山匡サービスBiz推進部門長は「金属加工工場特有の課題を解決できるようにした」と話す。
同社が提供するすべての生産設備はネットワークにつながり、付加価値の高い生産ができる「V-factory」対応マシンになっている。プログラム設計や生産計画の作成などを効率よく行うソフトと生産管理や監視の仕組みを組み合わせることで、工場の現場は最適なモノづくりができる。同時にIoTサポートセンターともつながっており、世界各地の顧客先の設備の状態監視を行っている。
IoTサポートセンターではリアルタイムでマシンの状態監視をする
センターでは地図上でどのマシンに障害が発生しているかなどもリアルタイムで確認できるようになっているため、たとえば生産設備でトラブルがあった際にもサポートセンターで遠隔診断しマシンの再稼働に向けた最適な支援をする。
あわせてセンターでは各マシンの健康状態も監視しており、消耗品や交換部品の交換を故障する前に知らせる事前保守の提案なども行う。そのため工場設備を止めずに運用できる。
とくに「設備に関して専門知識が少ない中小規模の工場では設備の課題などを十分に把握できていないこともある」(横山部門長)ため、製品とアフターサポートを一緒に提供することで安定して設備を運用できるようにしていることも特徴だ。設備監視で培ったノウハウを活用することで、工場の規模に関わらずスマート化ができる。
工場が抱える課題の解決を支援するIoTコンサルティングも行っている。稼働情報を解析し企業に合わせた最適運用の提案や付加価値の高いモノづくりに向けた支援もする。横山部門長は「一緒に課題を見つけ出し価値を出せるようにしていく」と話している。
同社ではV-factoryにより中小規模の工場から大規模工場まで幅広くスマート化の支援をしていく計画だ。