DAY 4 (10/18)

MaaS革命に備える

EasyMile R&D CTO Beigui Pejvan


EasyMile R&D CTO Beigui Pejvan

 自動車の運転で、運転手が必要ないとなれば80%自動車の価格は下がる。自動運転車を利用することは低価格になることにつながる。
 自動車自体は非常に高価だ。ディーラーで購入してから90%は車庫に入れたままの状態になる。使い方としては能力を十分に発揮させていない。自動運転車が皆を好きなところに自動で連れて行ってくれれば、これは自動車の革命になる。
 自動車メーカーはやり方を変える必要がある。自動運転車の車両提供会社になるということだ。保険会社も改革が必要。運転者の保険を販売できなくなってしまう。人とモビリティの関係は全て変わる。例えばトラックで配送されている物資の80%は、自動運転車によって破壊的な影響を受けるだろう。
 自動運転車が実現されればより安全になる。車は眠たくなったり、酔っぱらったりしない。免許持っていない人でも簡単に車に乗れる。自動運転によりコストも下げる。ある人を自動運転車で移動させたときに、移動先のところから別の人を移動させられればシステムの最適化が可能になる。
 自動運転にはレベルがある。レベル1は運転者の支援。レベル2は手を離してもいいが、人が見守っている必要があるという状況。レベル3は条件付きの自動化。道路から目を離しても大丈夫だが、予期しないことが起こったら自分が運転をし始めることが必要だ。現在はどの車もレベル3を達成していない。
 レベル4は高度な自動化。限定的な条件下で完全自動化が可能だ。その上が完全自動化のレベル5だ。
 レベルに対しては、段階的にレベルを上げていくという方法がある。その際、レベル2とレベル3の間に大きなギャップがある。さらに大きなギャップはレベル4とレベル5の間にある。
 段階的に自動化を進めていくというやり方のほかに、飛び越えてレベル4からやるという方法もある。それが我々のやり方だ。
 レベル2、3で問題なのは、人間がロボットを監視していなければならず、それが退屈というものだ。レベル1の車だけでも運転手は居眠りしてしまう。
 もう一つは、人間はシステムを過信してしまうということだ。車が実際にできること以上をできると思ってしまう。だから監視を怠りがちで、居眠りで多くの事故が起こっている。
 我々はレベル4からスタートする方が取り組みやすいと考えた。全世界で販売する「EZ-10」はハンドルもない自動運転車だ。企業内の敷地やビジネスパークなど特定の場所で人が移動するときに便利だ。タクシーモードあり、車を呼ぶこともできる。

 このような自動運転機能を実現するには周囲の環境を認識する必要がある。人間は目で認識するが、自動運転車は目以上の認識が必要になる。それにはカメラやレーダーを使う。霧といった厳しい環境でも使えるようにしなければならない。
 自動運転車のセンサーはLiDARを使うことが多い。光の反射光を受け取ることで高い精度で周囲の環境を認識できる。過去数年でLiDARは進化を遂げた。カメラと同等の質を得ることができるようになった。完全に3Dで見ることができる。
 ただ、課題はモノを区別するのに複雑なアルゴリズムが必要ということ。そのために深層学習やAIエンジンが動いている。センサーの感度が高いだけでなく、動いているものとそうでないものや、意図を予測することも未解決だ。そのため、自動運転までの道のりはまだまだ遠い。
 自動車業界は大きい。毎秒3台の車が一年間で作られている。世界で1500万人以上の人が雇用されている。間接雇用を含めると6000万人になる。産業の所得は世界で6番目の経済大国にもなる。
 巨大産業になったことで、動きが鈍いところもあり、変革が難しい面もある。自動運転車はLiDARやロボット工学など最新テクノロジーが搭載されている。ほとんどの人が自動運転車は今までの車の延長線上にすぎないと考えており、次世代車が自動運転車になると勘違いしている。自動運転車は全く新しい製品だ。それに対する想定は変えなければならない。
 17年には3兆マイルが車で走られた一方、交通事故による死亡件数は3万件あった。これだけ多くの人が亡くなるのは受け入れられないことだが、過去100年で見ると安全性は格段に向上した。自動運転車は、この安全性に対する達成度を超えなければならない。飲酒やSNSをなくせば交通事故の確率は確実に下がる。
 自動運転車は過小評価されているところがあると思う。自動運転車が生きる場所は今でもある。企業の敷地や大学キャンパスなどだ。地域レベルで取り組むところもある。既に自動運転のテクノロジーを確立するものはある。