台湾経済部工業局副局長兼台日産業連携推進オフィス(TJPO)
陳 佩利副主任に聞く
新型コロナ、台湾ハイテク産業への影響
台湾経済部工業局陳佩利副局長
感染発覚後すぐブロック
各国ロックダウン中も供給継続
新型コロナウイルスの感染が全世界に広がり1年以上がたった。ワクチン接種が進む一方で変異型ウイルスも拡大。これまで完全に制御できていた台湾でも5月中旬以降、局地的に感染が広がりレベル3の警報が発令された。ハイテク産業にどのような影響を与えているのか、台湾経済部工業局副局長兼台日産業連携推進オフィス(TJPO)副主任、陳佩利氏に話を聞いた。
新型コロナウイルスの感染状況が台湾ハイテク産業にどのような影響を及ぼしているか、各国が注目しています。
ワクチン支援に感謝
陳氏 まず初めに日本からの新型コロナウイルスワクチン支援に感謝したい。この感謝は台湾の総意で、既にワクチン接種も始まっている。
さて、新型コロナの状況だが、新竹サイエンスパークでの感染が発覚してからすぐに、工業局電子情報チーム(ICT産業統括)が新竹に直行し、中央感染症指揮センターが設置した前線指揮所で企業の時間差勤務など事業継続計画(BCP)の取り組みをサポートした。同時に企業の大規模な簡易検査を迅速に行えるように協力して見えない感染経路を洗い出し、即時にブロックしたため、感染拡大のリスクを軽減できたとみている。
結果として半導体などの大型工場では若干の感染は確認されたものの、生産ラインがストップすることはなかった。台湾のハイテク産業は国際的なつながりが強い。台湾の主要な工場では継続的に操業を続けられるノウハウを積み上げていたため、世界各国が相次いでロックダウンする中でも工場を止めずに供給を続けられた。
経済部と工業局は新型コロナの流行期間中も防疫に関わる産業を強力に支援しています。
陳氏 台湾のハイスループットPCR検査装置は数百台の発注を受け、東京オリンピックにも使用されると聞いている。
引き続きスマートマニュファクチャリング、5G、スマートディスプレイ、デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)など重要な産業の発展を支援されています。
セキュリティー産業支援
陳氏 5Gは典型的なシステム統合の業種で、バックエンドをサポートするにはIT(情報技術)やCT(通信技術)、OT(制御技術)など多くの技術との組み合わせが必要になる。
台湾と日本は双方とも5GネットワークのオープンRANの導入を推進しているため、優れた技術を持つ日本のサプライチェーンと良好な協力関係を築くことができる台湾メーカーが数多くいると考えている。
遠隔業務のビジネス拡大に伴って情報セキュリティー需要も高まっており、2020年は台湾の情報セキュリティー関連製品の売り上げが前期比11.9%増の552億台湾ドルに達した。
5月には台湾でサイバーセキュリティーイベント「CYBERSEC 2021」が開催され、3日間の会期中に2300社を超える企業が参加した。今年、世界で唯一、リアル会場で開催できたサイバーセキュリティーイベントになるかもしれない。イベントに出席した蔡英文総統は「情報セキュリティーは台湾の六つの核心産業の一つ」とあいさつした。
台湾は国家政策に沿って、5GやDXと同時に発展するとともに、国家安全保障とグローバルの信頼性を合わせ持つ情報セキュリティー産業を支援している。