人材育成・先生に聞く 紙面 17面
人工衛星は組み込み機器の究極形
宇宙は社会実装と結び付けると身近に
香川高等専門学校 電気情報工学科 村上幸一准教授
私は防衛大学校を経て自衛官となりヘリコプター操縦訓練などを経験したのち研究職に転じました。専門は情報工学で人工知能(AI)を専攻していました。現在はプログラミングや通信、クラウド基盤、組み込みシステムなどを教えています。

もともと宇宙が好きだったというよりも情報工学や組み込み開発、通信から宇宙につながっていきました。人工衛星は、マイコン、センサー、通信などを搭載した「組み込み機器の究極形」とも言えますよね。高専スペース連携に関わりながら、現在は衛星プロジェクト「KOSEN-3」のプロジェクトマネージャーも担っています。
香川高専着任後は、成層圏気球実験に取り組んできました。学生らとさまざまなコンテストにも参加しました。2025年度の宇宙人材育成講座では成層圏気球実験をテーマに授業を行い、ものづくりだけでなくシステム設計で重要なシステムズエンジニアリングを学ぶ場をつくりました。
実際のバルーンサットのペイロードも製作しました。モンゴル工業技術大学付属高専と連携し草原での気球実験を行い、学生らは大学生にも負けない完成度で仕上げていました。知識習得だけでなく実際にミッションを形にして現地で実証できたことは大きな成果だったと思っています。
宇宙産業は将来性がある一方、現状では、分野によって事業化の進み具合に差があるのが実態です。半面で衛星放送や通信、リモートセンシングなどでビジネスとして成立している分野もあり、この先、宇宙の社会実装の可能性は大きく広がってくるとみています。
宇宙は遠い存在と思われがちですが、社会実装や身の回りの課題解決と結び付けると身近なテーマとして捉えられます。26年度からの特別課程では、宇宙だけでなく他業種でも生かせるスキルを身に付けられると思っています。