人材育成・先生に聞く 紙面 17面

技術的裏付けを持つ構想力を育む

宇宙は利活用の時代へ

奈良工業高等専門学校 電気工学科 芦原佑樹教授

私は高校時代のアマチュア無線部での活動から、電波の受信状況の違いに電離層が関係していることを知り、電波・電離層研究の道に進みました。大学では衛星開発に関わる研究室で学びました。

芦原佑樹氏
奈良工業高等専門学校 電気工学科 教授 芦原佑樹先生

奈良高専着任後は電離層観測の研究を続け、2022年に私が提案した観測ロケットの打ち上げ実験を大学などと共同で行いました。実験では搭載機器の製作や調整などを学生と一緒に取り組みました。すべてをメーカーに任せず、学生自身が製作に関わることに意味があると考えていたからです。

高専スペース連携には24年から関わっています。スペース連携の良さは、宇宙を「つくる」だけでなく「利活用する」視点があることです。ここに大きな意義を感じています。高専では衛星やロケットの搭載機器、電気回路を作るといった技術寄りの発想になりやすいですが、講座では衛星データをどう使うか、宇宙を社会や産業にどう生かすか、という視点を扱います。高専がこれまで十分に扱ってこなかった「技術をどう社会に結び付けるか」「どの課題に使うか」といった領域を身に付けることができます。

AI(人工知能)時代になり、これまで高専生が強みとしていた「手を動かして作れる」ことが、以前ほど大きな差別化にはならない可能性があります。そうした時代では、考える力、全体をデザインする力、新しいものを構想する力が求められます。講座を通じ、実際に手を動かしてきた経験に宇宙利活用や社会課題解決の視点が加われば技術的な裏付けを持った構想ができるようになるでしょう。

宇宙産業は今、勃興期にあります。宇宙に行く手段は整ってきていますし、衛星データや通信、観測、社会課題解決など、宇宙の利活用について世界中が知恵を絞っている段階です。その段階に関われることはとても楽しいことではないでしょうか。

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