学生・スペースキャンプ 紙面 18-19面
高専スペースキャンプの活動
宇宙を自分の進路に引き寄せる


自分たちの学びも、宇宙産業につながっている―。「高専スペースキャンプ」に参加した学生たちは、企業見学やグループワーク、仲間との議論を通じて、宇宙産業との接点を見つけていった。2015年から実施している高専スペースキャンプは宇宙に関心のある高専生を集めた3泊4日の合宿形式で行う実践プログラムだ。宇宙をより身近に感じ、学生が普段学んでいる学科やコースが宇宙にどう関係しているのかを実体験できる。講座を受けた学生らは、宇宙産業に対する「思い込み」を払拭し、中には進路に大きく影響を受けた学生もいた。
合宿で宇宙を体感
高専スペースキャンプは、2014年から文部科学省の小型衛星実現に向けた宇宙人材育成事業として採択されたことがきっかけとなり、15年から宇宙人材育成プログラムの一環として実施している。26年度から始まった特別課程は前期に宇宙産業の全体を把握するために関連企業などから講師を招き講義するとともに、講義を踏まえて学生自身が社会課題の解決を考える個人ワークを行う。この前期日程の集大成がスペースキャンプだ。
宇宙に関心のある学生らが合宿地で一緒に学ぶイベントは、集中的に宇宙を感じる場になるだけでなく大きな刺激にもなっている。宇宙産業のトレンドを体系的に学べるだけでなく、宇宙開発に必要な技能も体感できる。
25年は年間通じて実施する「宇宙システム利活用人材育成特別課程」の試行の一環としてスペースキャンプを行った。9月9日から3泊4日で行われたキャンプには8高専9キャンパスから受講者34人中32人(男子15人、女子17人)が参加した。
企業見学で現場に触れる
オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区代々木)でのキャンプは前期ワーク発表会のほか、宇宙産業の見学会も実施した。SynspectiveやNEC府中事業場、宇宙航空研究開発機構(JAXA)調布事業所の見学をすることで、実際の宇宙関連企業の現場を体感した。そのほか、課題解決グループワークや企業勉強会なども行い、合宿ならではの活発なやりとりが随所で見られた。
参加した米子工業高等専門学校総合工学科電気電子コース4年の遠藤愛さんは「進学だけでなく就職も考えるようになった」と言い、新たな気付きになった。香川高等専門学校高松キャンパス電気情報工学科5年の葎迫千翔さんは「進路をより具体的に考えるようになった」と振り返る。
進路を考えるきっかけに
高専スペースキャンプと企業勉強会の学生アンケートでは、「対面で実施し、直接見たり、話を聞いたり、議論することで理解が進んだ」といった意見が多数寄せられた。今後、宇宙分野に関わりたいと思う学生は9割に上った。
奈良工業高等専門学校情報工学科在籍中に参加した米田竜也さんは「進路にも影響した」と言い、現在は東北大学大学院に進学し研究を進める。
明石工業高等専門学校電気情報工学科3年の阪田結菜さんは「自分らしい宇宙の関わり方を探したい」と、新たな知識習得にも取り組み始めている。
宇宙人材育成の取り組みは、学生に宇宙を遠い世界ではなく、自らの学びや進路とつながる分野として捉え直す機会を与えている。