企業・高専OB/OGに聞く 紙面 11面

FRP技術で宇宙を支える

スーパーレジン工業|人工衛星構造体、地上局レドームで存在感

津久井工場に備える大型オートクレーブ
津久井工場に備える大型オートクレーブ

FRP(繊維強化プラスチック)の開発製造を手がけるスーパーレジン工業(東京都稲城市)は、顧客の要望に合わせ、素材選びから設計・開発、成形加工、検査、納品までをワンストップで対応できることを強みにしている。2027年に創業70年を迎える同社は、創業時から培ってきたFRP成形・加工の技術力により、現在は人工衛星の構造体から地上局の部材まで供給し、日本の宇宙産業を支える一社になっている。顧客とともにゼロから一を作る──。難度の高い要求にも素材と技術で形にするカスタマイズ力は、宇宙機メーカーからの信頼も厚い。

スーパーレジン工業が手がけるFRP製品は、産業機器から航空・宇宙、電波応用、造形品まで幅広い領域で利活用されている。1970年の日本万国博覧会(大阪万博)のシンボルとなった「太陽の塔」の太陽の顔部分を成形した実績もある。得意とするのは量産品よりも、顧客の仕様に合わせた少量多品種の製品だ。管理本部本部長の大道達雄氏は「高機能・高品質が求められる分野で価値を提供している」と話す。ガラス繊維だけでなくカーボン繊維の双方を扱い、最適な部材選定から開発、製造までを一貫して手がける。

人工衛星100基以上に部品供給

衛星の構造体や太陽電池パネル構造体に製品を供給
衛星の構造体や太陽電池パネル構造体に製品を供給

同社がレーダードーム(レドーム)との関わりを持ったのは1970年代からだ。レーダーを風雨から守るレドームの設計製造を手がけたのをきっかけに地上アンテナレドームも多数手がける。電波設計や解析も含めて最適な設計ができる上、小型サイズから直径20m級の大型サイズまで対応できる。人工衛星分野への参入は80年代に入ってからだ。同社本社周辺に人工衛星など宇宙機を手がけるメーカーの拠点が多く立地していたこともあり声がかかった。

現在は人工衛星の構造体から太陽電池パネル用の構造体などを手がける。人工衛星では軽量性、剛性、熱による寸法変化の少なさが必要になるため、カーボン(炭素)繊維複合材料が適している。宇宙という過酷な環境で人工衛星を安定して稼働させるためには高い品質が求められる上、宇宙機器メーカーの細かな要望に対応できる開発力と生産能力が不可欠になる。同社は長年培ってきた知見を生かし高度な要求に応えており、現在、100基以上の人工衛星に同社の部品が使われている。「はやぶさ/はやぶさ2」をはじめ「火星衛星探査計画(MMX)」にも携わり、大道氏は「国内の衛星の約6割に当社の製品が入っている」と話す。

要求を形にするカスタマイズ力

こうした高度な要求に対応できるのは同社の研究開発力と製造力があるからだ。樹脂や材料などのケミカル領域、構造設計・解析などのエンジニアリング領域、レドームなどに関わる電波設計領域の三つの技術領域を一社内で組み合わせて提供できることが大きな強みでもある。これに成形、機械加工、品質管理までを一貫して対応できるため、「宇宙用途での信頼につながっている」(大道氏)とみる。

同社には加圧と加熱を組み合わせて成形するオートクレーブをはじめ、切削機械、マシニングセンターなどの設備を備え、幅広い要求に柔軟に対応する。特に津久井工場(相模原市緑区)には大型オートクレーブや大型加工設備があり、衛星関連などの大型で高精度な製品が製造できる体制を整える。

技術力の高さも強みだ。国内約150人のうち、開発が約30人、製造が約60人で対応する。経営管理部人事課課長の楠亀友寛氏は「社内資格制度を充実し、資格取得により技術力を高めるとともに高度な生産への対応力を付けている」と話す。成形の認定資格にはマイスターを最上位に6クラスあり、上位クラスになると人工衛星関連をはじめ、高度な製造に携われるようになる。「キャリアアップの目標にもなっている」(楠亀氏)という。

メーカーと二人三脚

実際、宇宙機関連メーカーとは二人三脚で設計開発に携わる。過酷な条件で故障なく運用することが求められるため、樹脂や成形条件、加工精度など、長年の経験から素材特性を理解し尽くした同社にしかできない領域も多い。大道氏は「当社側から最適な製品提案をして開発しているものもある」と話す。メーカー側と一体となって開発できることも大きな魅力だ。

同社にとって宇宙関連事業は、需要の拡大も背景に衛星や地上局も含めると売り上げに占める比率も高まっており、大きな柱になっている。宇宙関連では、衛星だけでなくロケット関連部品などへも展開できる余地は多い。

さらにエネルギー分野といった新規領域への展開も視野に入れる。同社の技術力と、設計・開発から製造までの一貫した対応力は、今後幅広い領域で求められる場面が広がりそうだ。

働く人に聞く

顧客の「こうしたい!」を形に

大道達雄氏
管理本部 本部長 大道達雄氏

大道氏小さな会社ですから、若いうちから幅広い仕事を任せられます。開発でも製造でも、宇宙関連の重要部品に近いところで仕事ができます。単に図面通りに加工するのではなく、お客さまと対話し、仕様やコストなど、擦り合わせながら形にしていきます。お客さまからの要望を素材と技術で形にしていくことは楽しいですしやりがいにもなります。

宇宙の課題をものづくりで解く

楠亀友寛氏
経営管理部 人事課 課長 楠亀友寛氏

楠亀氏当社では機械、電気、化学、物理、数学など、理系分野の幅広い知識が生かせます。実際に社員のバックグラウンドも多様です。宇宙に関わるものづくりを身近に経験できますので、宇宙や素材に関わるものづくりに興味のある人は、一緒に手を動かしながら考え、課題解決に挑んでいきましょう。

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