ロチェスターエレクトロニクスは、世界の主要半導体メーカーが生産中止した(EOL)製品をオリジナルメーカーに代わって継続的に供給する半導体メーカーおよび代理店。グローバルで70社を超える半導体メーカーとパートナーシップを結び、高い品質の製品供給を行っている。
米国マサチューセッツ州ニューベリーポートに本社を構え、世界の主要マーケットでサービスを提供。日本法人は東京のほか、大阪にセールスオフィスを置き、地域に根差したきめ細かな顧客サポートを行っている。
メイン事業である「EOLビジネス」は、ダイ換算で120億個以上のウエハ在庫を持ち、7万種類を超える製品展開が可能。これまで2万種類以上の再生産実績がある。設計、ウエハ設計、組立、テスト、IPアーカイブなど、製造サービス全般をターンキー・ソリューションとして提供することで、短期間での市場投入を実現する。
東芝デバイス&ストレージとパートナーシップ契約締結
同社は23年1月に東芝デバイス&ストレージとパートナーシップを締結し、製品ラインアップを拡充することを発表した。このパートナーシップ締結により、東芝デバイス&ストレージのストレージ製品を除く半導体製品をロチェスターが供給する。現時点では完成品在庫の供給を予定しており、製品の移管は順次行っていく。
ロチェスターエレクトロニクス日本オフィスの藤川博之代表は「東芝デバイス&ストレージの半導体製品は産業機器や自動車、民生など幅広い分野で使用されている。今回のパートナーシップ締結により、幅広い分野の顧客に継続的に製品を供給することができる」と話す。
新パートナー締結を機に、自動車分野への取り組みも
同社は自動車分野への取り組みも強化している。今年1月には同社施設での半導体製品の製造において、IATF―16949の認証を取得した。同認証は、自動車業界の国際的な品質マネジメントシステムに関する業界最高水準の規格。今回の認証取得により、同社の品質と信頼性が認められた。
藤川代表は「東芝デバイス&ストレージの製品をラインアップに加えたことで、自動車分野への製品供給も出てくる。自動車に搭載される半導体は増加傾向にあり、今後も重要度は増す。自動車分野への提案を加速する」と話す。
新たなパートナー企業を拡充し、さらなる成長へ
同社は近年、グローバルでパートナー企業を拡大させており、製品ラインアップを増やしている。20年にはアンプレオン、ISSI、21年にはSTマイクロエレクトロニクスとパートナーシップを締結。日本でもルネサスエレクトロニクス、リコー電子デバイス(現・日清紡マイクロデバイス)のほか、昨年3月には京都セミコンダクターとパートナー契約を交わした。
リコー電子デバイスと新日本無線が統合して日清紡マイクロデバイスが誕生した経緯もあり、昨年から旧・新日本無線製品も取り扱いを開始した。
藤川代表は「現在の製品ラインアップが十分とは思わない。半導体メーカーとの関係構築を図るサプライヤデベロップメント部門が、新たなパートナー開拓を常に行っている。今後も顧客の多様なニーズに応えるとともに、サプライヤの長期的な継続供給を実現させるため、体制強化を進めていく」と話す。