【PR】日本の再生可能エネルギー推進の裏にある意外な負担

百合田 和久/日本マネージングディレクター

日本においても、脱炭素化への取り組みが強化されていく流れは例外ではありません。政府は2026年4月から、国内で一定規模以上の二酸化炭素を排出する大規模事業者数百社を対象に、排出量取引制度への参加を義務付けます。この政策により、企業は二酸化炭素排出量の早急な削減とクリーンエネルギーの調達拡大を求められます。こうした規制の強化に加えて、日本全体の「エネルギー基本計画」も追い風となり、再生可能エネルギーの導入拡大が加速しています。

脱炭素化社会実現において、発電部門における再生可能エネルギー電源への転換促進が必要になりますが、再生可能エネルギーの出力抑制が頻出していく一方です。太陽光や風力による発電が行われているにもかかわらず、送電網が受け入れられないために無駄になってしまっています。これはエネルギーシステムの安定性を損なうだけでなく、再生可能エネルギーが火力発電の真の代替として機能する能力も脅かしています。

この課題の核心には、構造的なギャップが存在します。数十年にわたり、火力発電は「供給力」「調整力」「慣性力」という3つの重要な機能を担ってきました。再生可能エネルギーは供給力の代替は可能ですが、調整力と慣性力を補うことは依然として難しい状況です。電力需要そのものは、データセンターや半導体産業からの電力需要が指数関数的に増加しており、高まっている一方で発電と負荷の局所的なミスマッチが多大になっており、電力系統にさらなる負荷を与えています。

経済産業省(METI)の最近の報告でも、送電網の出力抑制に対する警鐘が鳴らされています。例えば、2025年1月6日に東京電力管内で発生した電源の出力制御は、今後直面する課題を浮き彫りにする象徴的な事例と位置づけられます。

経済産業省による予測は懸念材料であり、今後さらなる出力抑制が拡大すると見込まれています。この損失電力の約半分は、主要な産業拠点である九州電力管内で発生すると予測されています。

こうした直近の懸念は、長期的な見通しにも反映されています。日本の電力広域的運営推進機関(OCCTO)が2025年6月に公表した報告書では、老朽化した火力発電所が更新されない場合、高需要シナリオにおいて2050年までに最大89ギガワット(GW)の電力不足に直面する可能性があると警告しています。最も楽観的な更新シナリオであっても、日本は依然として23GWの不足に直面する可能性があると指摘しています。同報告書では、電化の進展や経済成長を背景に、電力需要が2019年比で8%〜42%増加する一方で、その需要を満たすには再生可能エネルギーの設備容量を170〜260GWへ拡大する必要があると予測しています。

柔軟性に欠ける電力網による度重なる出力制御や不確実な電力供給は、重要産業にとって電力の信頼性を揺るがす懸念材料となっています。例えば、継続的かつ安定した電力供給に依存している半導体製造工場が予測せぬ停電に直面した場合、生産は停止し、技術開発において費用のかかる遅延や後退を招くことになるでしょう。

環境目標と経済競争力の両立

日本が直面している課題は、再生可能エネルギーの導入目標を達成することにとどまりません。産業競争力を損なうことなく脱炭素化を実現する方法を見出すことも重要となります。これら双方を達成するために、国は脱炭素化を推進しつつ、重要産業を支える安定的で信頼性の高い電力供給を確保する仕組みを整えていく必要があります。

これらの課題に対処するためには、多角的なアプローチが必要となります。具体的には、送電網の近代化、より高度なエネルギー貯蔵ソリューションの導入、さらには需要側マネジメントの強化が求められます。

また、エネルギー分野のデジタル化が進む中で、人工知能(AI)や高度な分析技術、予測ツールといった先端技術の活用が進んでおり、再生可能エネルギーの変動を予測し、その影響を緩和することが可能になるなど、さまざまな利点が生まれています。

例えば、エネルギー管理システムの導入により、送電網の運用を最適化し、その結果として出力抑制の可能性を最小限に抑えることができます。これらのシステムは、データ分析や予測アルゴリズムを用いて再生可能エネルギーの出力変動を予測し、必要に応じて送電網のパラメーターを調整します。このアプローチにより、既存の送電インフラをより効率的に活用できるようになり、高額な設備増強の必要性も軽減されます。

パズルのもう一つの重要なピースとなるのが、高度なバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の導入です。BESSは、再生可能エネルギーの発電量がピークに達した際に余剰電力を吸収し、必要なときに放出することで、出力抑制を低減し、調整力や慣性力を確保し、送電網全体の安定性を高めます。さらに重要なのは、BESSを効果的に活用することで、必要とされる送電網拡張投資の規模を抑えられる点です。これにより、信頼性を確保しつつ、再生可能エネルギーへの投資が進みやすい、より強固な環境を構築できます。

Universはすでに、実質的かつ大きなインパクトをもたらす形で貢献しています。当社のEnOS™クラウドは、OEMごとに異なるプロトコルの差異を吸収し、アグリゲーターと分散型電源を接続します。エッジ組み込みソフトウェアを通じ、日本市場全体でシームレスな相互運用性を実現しています。現在、15の主要アグリゲーターと蓄電所にソリューションを提供する殆どのPCSメーカー18社とデータ連携を構築済みで、2026年度には、日本市場に展開するほぼ全てのアグリゲーター20社と実アセット(蓄電所及び蓄電池併設型太陽光発電所)の制御連携を実施する予定で、蓄電池関連のアグリゲーターとアセットの連携120件を予定しています。Universの技術力が支える基盤により、投資家や事業者は最適なパートナーの組み合わせを柔軟に選択でき、より経済性の高いプロジェクト構築が可能になっています。また、これは日本の脱炭素化社会の実現加速に貢献するサービスとなっています。

今後を見据えると、アグリゲーターは蓄電池にとどまらず、工場や建物といった需要側リソースへと役割を拡大しつつあります。この分野においても、Universのソリューションは進化を続け、負荷制御や需要反応へと展開することで、日本のエネルギー転換を力強く後押ししていきます。

EnOS™クラウドについて

脱炭素のためのデジタルシステム
AI、IoT、データ分析を組み合わせた唯一の脱炭素化PaaS。統一されたエネルギー管理プラットフォームを構築し、再生可能エネルギー、施設、フリートにわたる脱炭素化の旅全体をナビゲートします。

著者紹介

百合田和久は、複数業界での事業創出を経て再生可能エネルギー分野に軸足を移し、現場と経営の両面からエネルギー転換に向き合ってきた起業家・戦略家です。商社での国際事業や韓国法人立ち上げ、オリックスでの太陽光発電開発・アセットマネジメントを通じ、技術・制度・運営を横断した知見を培ってきました。2023年よりUniversの日本カントリーマネージャーとして、電力システムの構造課題に取り組み、分散型エネルギー時代にふさわしい新しいアーキテクチャづくりを進めています。

Univers社について

Univers(ユニバース)は、2018年にシンガポールで設立されたエネルギー分野のAIリーダーとして、世界の企業のエネルギー転換を支えるプラットフォーム「EnOS™」を提供しています。AIとIoTを活用し、発電・蓄電・消費の最適化からカーボンマネジメント、EV充電、マイクログリッド運用まで幅広い領域をカバー。現在、世界各地で800社以上の顧客にサービスを提供し、3億6500万台のデバイス接続と845GWの再生可能エネルギー管理を実現しています。予知保全による年間3億ドルの損失回避や累計5億4,100万トンのCO₂e排出回避など、実績も豊富です。「テクノロジーでグリーンな世界を創る」をビジョンに掲げ、2040年までのネットゼロ達成を目指して事業を推進しています。
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