半導体サプライチェーンのレジリエンス
半導体産業はオートモーティブシステムから医療機器まで、現代テクノロジーを支える基盤となっている。しかし、近年ではグローバルサプライチェーンの脆弱性が浮き彫りとなるケースも多い。ダイオード、トランジスタ、MOSFETなど主要半導体の在庫不足は複数の業界に影響を及ぼし、生産の遅れとコスト増大を引き起こしている。
ネクスペリア製品の在庫ひっ迫
Z2Data によると、正規販売代理店が保有するネクスペリアの主要製品の在庫は、わずか5週間で30~50%減少し、いまだに混乱が続いている。これらの製品は、オートモーティブ、 産業機器、民生用電子機器にとって不可欠。供給が不安定になれば、生産ラインは停止し、計画は混乱、機器メーカーは代替品を慌てて探すことになる。この在庫不足は、オートモーティブ業界に限ったことではなく、航空宇宙システム、産業用制御機器や、医療機器もこれらの製品に依存している。多くの製品は組立品にはんだ付けされており、代替品を実装する前に数か月にわたるテストと認証が必要なため、代替はさらに困難となる。
混乱の根本的な原因
この供給ひっ迫により引き起こされた生産停止には、以下のようなの要因がある。
①地政学的緊張:輸出規制や規制強化により生産体制が混乱
②単一供給元への依存:特定の半導体メーカーへの集中が影響を増幅
③ジャストインタイム在庫管理:安定した市場では効率的だが、危機時の余裕が不十分
確立されたサプライチェーンでさえ、外部要因により一夜にして混乱する可能性がある。製品供給がひっ迫した際に生産を継続するためには、こうした要因やリスクを認識し、生産を維持するための対策を講じておく必要がある。
非正規供給元から調達するリスク
正規の製品在庫が不足すると一部の機器メーカーでは、非正規ルートからの部品調達に頼らざるを得なくなる。しかしこれは、偽造品や規格外品の入手リスクをもたらし、安全性、信頼性およびブランド評価を損なう可能性がある。品質が妥協できない業界では、その影響はより深刻になる。
レジリエンスの強化
メーカー各社が講じるべきレジリエンスを強化策は以下の4点。
①認定された製品在庫の維持:トレーサビリティとコンプライアンスが保証された 販売代理店との協力
②調達先の分散:特定のメーカーや地域への過度な依存の回避
③ライフサイクル管理の実施:製造中止を見越した長期供給契約の確保
④市場インテリジェンスの活用:データ分析による需要の予測と脆弱性の特定
しかし、これらの対策を講じレジリエンスを強化することは簡単なことではない。解決策のひとつとして、ロチェスターエレクトロニクスのパートナーシップを活用するという選択肢がある。
ロチェスターエレクトロニクスという選択肢
ロチェスターエレクトロニクスは、グローバルで70社を超える半導体メーカーとパートナーシップを結び、高い品質の製品供給を行っている。そのほか、世界の主要半導体メーカーが生産中止した(EOL)製品をオリジナルメーカーに代わって継続的に供給するなどし、世界中の製造業を支えている。
同社は、ネクスペリアとのパートナーシップを通じて、製造中止の懸念が発表される前に29億個のネクスペリア製品を確保し、顧客への安定供給を実現した。同社が保有する製品は、オリジナル半導体メーカーに認定されており、追跡可能な製品履歴と製品保証を提供。ネクスペリアのみならず、オンセミ、テキサス・インスツルメンツ、STマイクロエレクトロニクスなどの主要メーカーともパートナーシップを締結し、必要に応じて代替品の提供を行っている。
このアプローチは、先を見据えた戦略と強固なパートナーシップにより、製造業各社を市場の不安定さから守り、重要なサプライチェーンを維持できるかを実証している。レジリエンスは一夜にして築けるものではない。計画性、多様性、そして信頼できるパートナーシップが必要。メーカー認定の正規ルートでの調達と予防的な戦略を重視することで、製造業各社は自信を持って不確実な状況を乗り越え、将来の混乱から企業を守ることができる。
ロチェスターエレクトロニクスについて
米国マサチューセッツ州ニューベリーポートに本社を構え、世界の主要マーケットでサービスを提供している。日本では、営業本部の東京のほか、大阪にセールスオフィスを置き、地域に根差したきめ細かな顧客サポートを行っている。メイン事業である「EOLビジネス」は、ダイ換算で120億個以上のウエハ在庫を持ち、7万種類を超える製品展開が可能。これまで2万種類以上の再生産実績がある。設計、ウエハ設計、組立、テスト、IPアーカイブなど、製造サービス全般をターンキー・ソリューションとして提供することで、短期間での市場投入を実現する。