2021.10.12 出光興産、太陽光パネル汎用品の生産撤退独自開発のCIS薄膜太陽電池

 石油元売り大手の出光興産は12日、子会社が量産していた化合物半導体系の「CIS薄膜太陽電池」の生産を2022年6月末めどに停止する、と発表した。同社の次世代技術研究所に開発を集約して、同電池が持つ特性が生かせる宇宙空間用途や電動自動車などへの搭載用途といった高付加価値分野に絞って研究を進める。

 銅などを主成分としたCIS薄膜太陽電池は、100%出資子会社「ソーラーフロンティア」(東京都港区)が独自開発して、同社国富工場(宮崎県国富町)で唯一、汎用品として生産し販売してきた。累計販売量は6GWを超える。

 ただ、中国を中心とした太陽光パネルメーカーが生産規模の拡大でコスト低減を進めた影響などを受け、CIS薄膜太陽電池の販売が低迷。パネルと周辺機器を含めた売り上げは13年度の約1149億円から20年度には約144億円程度に減少してきた。オンライン会見した出光興産の平野敦彦取締役は「汎用パネルの研究、製造に投入していた経営資源を成長分野に振り向ける」と語った。

 国富工場では今後、結晶シリコン系太陽電池のOEM調達などに移行することにしている。