2025.09.08 デクセリアルズ、電子材料3製品で世界シェア首位
異方性導電膜
日本の化学素材メーカーが世界のエレクトロニクス産業を支えている。デクセリアルズは、異方性導電膜(ACF)と反射防止フィルム、光学弾性樹脂の3製品が世界シェア首位を獲得したと発表。調査会社の富士キメラ総研の市場調査レポート「2025ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」に基づくもので、3製品の首位獲得は2019年から6年連続となる。
ACFは、ノートPCやスマートフォン、車載ディスプレーなどに広く採用されている主力製品で、世界シェアは74%に達する。ICなどの電子部品をプリント基板に実装する際に使われ、接着・導通・絶縁の3機能を担う。特にスマホのディスプレーが液晶からフレキシブル有機EL(OLED)へ移行する中、独自技術で導電粒子を配列した「粒子整列型ACF」は、微細な接続が求められるOLEDで事実上の標準技術となっている。
反射防止フィルムは92.8%の世界シェアを誇る。ディスプレー表面に貼り付けて光の反射を抑えることで、視認性を高める。スパッタリング技術で金属酸化膜の反射防止層を形成することで、高い耐久性と反射防止性能を実現。独自のロールtoロール方式による量産体制で、PCや車載用途に展開している。
光学弾性樹脂は54.7%の世界シェアを占め、ディスプレーのトッププレートと液晶モジュールの間に充てんする液状接着剤として利用される。ガラスに近い光学特性を持ち、外光反射や映像光の拡散を抑制することで視認性を向上させ、スマホや車載ディスプレーなど幅広い機器に採用されている。
デクセリアルズはソニーケミカルが前身で、12年に現社名へ変更した。高い技術力で付加価値の高い製品を開発し、ニッチ市場で世界シェアを獲得してきた。今後は車載やAI(人工知能)分野で成長が期待されるフォトニクス領域への展開を加速し、「Empower Evolution、つなごう、テクノロジーの進化を。」のパーパスの下、持続可能な社会への貢献を目指している。
<執筆・構成=半導体ナビ>