2022.03.01 経産など関係省庁がセキュリティー対策の強化要請トヨタ取引先のサイバー攻撃を踏まえ

 トヨタ自動車の取引先企業がサイバー攻撃を受けた影響で同社の国内全工場が休止した問題を踏まえ、経済産業省や金融庁などの関係省庁は1日、重要インフラを支える企業や団体などに対して、改めてセキュリティー対策を強化するよう呼びかけた。

 萩生田光一経済産業相は同日の閣議後記者会見で一連の動きに触れ、「事実関係の把握に努めたい」と強調。さらに「昨今の情勢からサイバー攻撃事案のリスクは高まっており、企業への被害が発生する懸念が強まっている」と指摘。サイバー攻撃がサプライチェーン(供給網)に広く影響を及ぼすリスクにも警戒し、産業界がセキュリティー対策の強化に努めるよう要請した。

 経産省は同日、セキュリティー対策の強化について関係7省庁から改めて注意喚起を行うと発表。この中で供給網全体を俯瞰し、発生するリスクをコントロールできるよう適切な対策を打つことも求めた。「関係省庁との間でサイバー攻撃の動向について調査・共有し、対策につなげたい」(商務情報政策局サイバーセキュリティ課)という。

 牧島かれんデジタル相も同日の閣議後会見で今回の事態に触れ、「改めてサイバーセキュリティー対策の強化に努めてほしい」と強調。ウクライナに侵攻しているロシアとサイバー攻撃の関係については、「事実関係の把握に努めている」との発言にとどめた。

 トヨタによると、取引先部品メーカーの小島プレス工業(愛知県豊田市)でサイバー攻撃によるシステム障害が発生し、1日に国内にある14工場28ラインの稼働が停止。同日には、全ての工場の稼働を2日朝から再開すると発表した。

 小島プレスの発表によると、2月26日夜にサーバーの障害を検知した。再起動して確認したところ、一部サーバーでウィルス感染と脅迫メッセージの存在を確かめたという。その後、外部専門家を含む対策チームを設けてサーバーの停止やネットワークの遮断を行い、全てのシステムを止めた。これを受けてトヨタは28日、工場の稼働停止を決定したと公表していた。