2023.06.06 【ITサポートサービス特集】NECフィールディング アウトソーシング案件を獲得 医療/冷蔵機器などに力

藤原 常務

 NECフィールディングは、全国約340拠点、約3200人のエンジニアによる24時間365日体制の保守網を強みに、メーカーや機器を問わず保守サポートするマルチメンテナンスを前面に出した支援を進めている。

 昨今はメーカーなどの機器の保守サポートを丸ごと請け負うアウトソーシングの案件が増えており、取締役の藤原雅彦執行役員常務は「今年度は新たな領域として提案を進めていく」と話す。

 数年来、新規領域の拡大に力を入れてきた同社は、IT以外の機器や設備の保守に取り組んでいる。特に2019年からカシオ計算機の電子レジスターや楽器などの全機器の保守を丸ごと請け負うアウトソーシングを受注し、順調に知見を増やしてきた。

 この一年で商社系企業が展開しているIT機器の保守を一括で請け負う事例が出たほか、外資系IT企業の機器の保守を請け負う案件の引き合いも出てきた。

 今年度は商社系や外資系ITのアウトソーシング案件の獲得を進めるほか、医療機器やフロンを使う冷蔵機器、ロボット関連の保守を拡大していく。

 医療機器は全国26カ所で対応でき、検査機器などにも対応。藤原常務は「医療機器の保守基盤は整った」と説明する。

 冷蔵機器の保守ではフロン関連機器の資格取得を進め240人まで拡大。全国規模の保守を獲得し支援を始めた。「今年度中に資格取得者を270人まで拡大し、冷蔵機器の保守案件をさらに増やしていく」(同)計画だ。

 高品位なマルチメンテナンスを実現するための社内DX(デジタルトランスフォーメーション)も進める。

 現在、カスタマーエンジニア(CE)の業務を総合的に支援する保守基盤システム「CS-FORCE」を刷新するとともに、CEの作業工程を支援する「現場ナビゲーション」を構築している。

 さらに、CEの作業支援として人工知能(AI)を活用した「AI問診」も始めた。CEの自動ディスパッチ(派遣)や、保守現場でのログ解析をAIが行い、その場で故障箇所や必要な部品を判別し部品配送できる仕組みだ。NEC製品から導入を始め、作業効率をさらに高めていく。いずれも24年2月に最新版を稼働させ「25年度に保守作業の15%削減を目指す」(藤原常務)。

 NECと連携して実施する量子アニーリング技術を使った部品配送の検証も進む。これまでの1日に1回の配送計画が、5分ごとに更新できるようになった。4月に東京でスタート。6月から大阪でも始める予定だ。藤原常務は「これにより効果的な配送が実現できる」と指摘する。

 部品在庫の最適化にも取り組む。全部品在庫にRFIDタグを付けてトレーサビリティー(追跡)をできるようにしていく。

 既に50万点にタグを付け終えた。現在は残り80万点にタグを貼り付けており、24年中に約130万点の部品全てに付け終える予定。「棚卸しの工数を減らせる」(同)とみる。

 BCP(事業継続計画)の観点から倉庫の最適化も図る。「川崎テクニカルセンター」を中心に首都圏に五つの小型倉庫を展開してきたが、8月に相模原に新倉庫を開設。相模原と川崎の2拠点で対応していく。相模原では将来、全自動の最新設備を導入する計画だ。

 今後は社内DXを進めながらマルチメンテナンスの幅を広げる考えで、藤原常務は「導入が進む配膳ロボットといったロボット領域の保守獲得も進めていく」と話している。