2023.07.18 フェイク画像に「来歴情報」で対抗 アドビ、画像データに編集履歴付与
来歴情報を通して画像の信頼性を担保するCAIの取り組み(アドビ提供)
生成AI(人工知能)が進化する一方でフェイク画像や偽情報の拡散が問題になる中、デジタルコンテンツの来歴を記録し捏造に対抗するネットワーク「コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)」が注目されている。アドビが主体となって2019年に立ち上げたCAIは、画像の撮影者や編集者の情報だけでなく、どのように編集したかといった履歴までを改ざんできない形で付与する機能を誰でも使えるオープンとして技術標準化。業界横断で利用できるよう普及を進めている。
生成AIを活用したクリエイティブな制作活動や企業の業務改善の取り組みが進む一方で、インターネット上で無料公開されたツールを使って実在しない写真や映像といった偽情報が手軽に生成するなどの悪影響も広がっている。米国では偽ニュースがディープフェイク動画技術によって生成された偽キャスターによって発信されるなど偽情報対策は待ったなしの状況になっている。
CAIは、こうした悪影響からクリエイターを守り、コンテンツ業界の健全性と制作物の透明性を確保するための枠組みで、世界55カ国、1500超の企業が加盟している。
画像の真偽確認(ファクトチェック)には画像解析など時間とコストがかかることに加え、偽情報の生成は日々巧妙さを増しているためCAIは、絵画の取引に使われる「来歴情報」に着目。アドビが主力の画像・写真編集ソフト「Photoshop(フォトショップ)」に2021年に追加搭載したコンテンツ認証機能の仕組みを応用し、画像の撮影者や編集者の情報のほか、画像がどのように編集されたのかといった編集履歴までを改ざんできない形で画像に付与できるようにした。
(19日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)