2023.08.09 【コネクター特集】携帯端末用コネクター
小型ウエアラブル機器向けの嵌合高さ0・5ミリ、端子間ピッチ0.3ミリ電源端子付基板対基板コネクター
5Gなど高機能端末向けの開発に力
コネクターメーカー各社は、スマートフォンやタブレット端末、ウエアラブル端末などの高機能携帯端末向けの小型・高性能コネクターの開発に力を注いでいる。
世界のスマホ市場では、5G通信化を背景に、端末の高機能化が進んでいる。さらに、ハイエンド分野では、ミリ波対応スマホの市場も徐々に本格化していくことが見込まれる。5G化による端末の高機能化は、接続ポイントの増加を促し、同時に、機器内部の高密度実装化が一段と進むことから、内部搭載部品への小型化要求は一層強まっている。電流容量増大への対応や、完全防水へのニーズも強い。
コネクター各社は、これらを踏まえ、次世代ハイエンドスマホ向けの内部接続用やインターフェース用、大電流対応コネクターなどの製品開発を活発化させている。
内部接続用では、基板対基板コネクターやFPC接続用コネクターの一層の小型・低背化・省スペース化が進んでいる。基板対基板用は、0.4/0.35ミリピッチなどの狭ピッチ品のバリエーション拡充が進み、嵌合(かんごう)高さ0.5ミリメートルの超低背構造の0.4/0.35ミリピッチ基板対基板コネクターなどが開発されている。よりファインピッチの0.3ミリピッチ基板対基板コネクターも、一部の高級スマホなどで実用化されている。
FPC接続用は、0.3ミリピッチFPCコネクターの低背化や省スペース化追及とともに、より狭ピッチの0.25ミリ/0.2ミリピッチ品開発も進展。千鳥形状の0.175ミリピッチFPCコネクター開発なども進んでいる。
5Gスマホ向けでは、マルチRF対応の基板対基板コネクターによる、セットの小型化と生産性向上などが提案されている。
最近のスマホは、内蔵バッテリーが大容量化し占有面積が増加しているため、電池以外の端末内蔵部品は小型化要求が一層強まっている。コネクターの狭ピッチ・低背・省スペース化では、接触信頼性、機械的強度、作業性などの面で従来品と同等性能を確保できる設計が不可欠。
情報端末向けのデジタルインターフェース用では、急速充電用の給電規格「USB PD(パワーデリバリー)」対応や、高速規格「USB4(最大データ転送速度40ギガbps)/USB4バージョン2.0(同80ギガbps)」対応の製品開発が進んでいる。
高機能ウエアラブル機器用では、スマートウオッチやワイヤレスイヤホン、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)機器、スマートリングなどの内部接続用に、超小型・少極でかつ高性能・高強度のコネクター開発などが進んでいる。スマート衣料向けコネクターなどの開発にも力が注がれている。