2023.09.22 【部品メーカー商社ASEAN特集】ウエムラ・インターナショナル・シンガポール 上村工業

小田 MD

ペナンに新拠点、外資系にも対応

 上村工業は、ASEAN地域が生産拠点として注目される中、きめ細かく対応できる体制を整える。販売会社ウエムラ・インターナショナル・シンガポール(UIS)では、今年4月にマレーシアのペナンに拠点を開設。進出する日系だけでなく、中国、台湾、欧米系などのメーカーの工場に商材を提供できる体制を整える。

 UISの歴史は古く、1988年に設立した。マレーシアの生産会社ウエムラ・マレーシア(UM)とも連携しているほか、インドネシアやフィリピン、ベトナム、インドなどの顧客にも対応している。シンガポール拠点は16人体制。連携するUMは、ハードディスク用無電解ニッケルめっきプロセス薬品など表面処理用薬品を製造する。小田幸典マネージングディレクター(MD)は、昨年12月に現地に着任していた。

 UISの7月からの下期の実績は、電子部品関連向けを中心に取引先の在庫調整などの影響で落ち着いた状況が続いている。一方で、バイク部品向けの需要が伸びており、インドネシアやフィリピンなどへの実績は順調。来年以降は、電子部品向けの需要も回復し、上昇局面に期待できるという。

 小田MDは「マレーシアは数年で大きく伸びる。チャイナリスクを考慮し、日系企業や台湾、中国、欧米系などの企業がマレーシアにも工場を建設する動きが目立つ。特に電子部品関連向けは伸びると見込む」と話す。EV(電気自動車)向けや半導体向け、DC(データセンター)向けの需要は将来的に期待できるという。

 これらの動きに対応しようと、同社では今年の4月にマレーシアのペナンに新たな拠点を開設した。工場進出を計画するメーカーにきめ細かく対応できる体制を整える。加えて、セールスマンの技術知識を強化していく。

 「マレーシアはメーカーの研究開発拠点やテクニカルサポート拠点もある。これらの拠点に対応できるよう知識武装を図り、提案体制を強化する」(小田MD)。

 また、日系企業の開拓のほか、現地ローカル企業の新規開拓も進める。新しい顧客を増やすことで、セールスのモチベーションの向上につなげ、社全体の機運を高める。

 小田MDは「ASEAN市場はこの5~10年で大きく伸びる。この市場の拡大を確実に捉え、社全体も伸ばしたい」と今後の抱負を語った。