2024.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’24展望 ルームエアコン

高い省エネ性へのニーズが高まるルームエアコン

さらなる省エネをめざす
高付加価値品への買い替えを促進

 電気代高騰の折、家庭で最も消費電力が多いルームエアコンは、省エネ性能のさらなる向上が最も重要な開発テーマとなっている。

 2024年度向けのフラッグシップモデルの新製品も順次投入され始めており、快適性はもとより、省エネを実現する高付加価値モデルへの買い替え提案に力が入っている。

 近年、さらなる省エネ性能を向上させるには、ハード的にはほぼ限界がきているとされ、使い方での省エネはもとより、IoTやAI(人工知能)機能による最適な制御といった、ソフト面での省エネも重要となっている。ユーザーも電気代高騰に伴い経済的負担が高まっていることを強く意識するようになっており、エアコン使用控えのような動きも見受けられるようになっている。

 メーカー各社も、こうしたユーザー心理を踏まえた上で商品開発に力を入れ、省エネ・快適の両立を目指した技術進化はここ何年もの大きなテーマとなっている。近年は、特にソフト面での省エネが注目され、さまざまな切り口でさらなる省エネ・節電提案に各社力を入れている。

 ソフト的な方法での解決は、人ができるちょっとした工夫や小まめなフィルター清掃といったアナログ的な手法がまずあげられる。

 合わせて、近年各社が力を入れるのは、センサー技術や、AI・IoT技術を駆使し、最適な運転制御を図ることで、ユーザーに負荷をかけずに、自動で最適に省エネ運転を実現する技術だ。

 人の在・不在を検知するほか、人数、温湿度などさまざまな要素を把握して、最適な運転制御を図ることで、省エネ性を高める技術が進化している。

 また、クラウドと連携し、例えば天気予報の情報を取得して、先回りして最適な空調を実現するなど、さまざまな手段がある。

 さらに、太陽光発電とのシステム連動により、発電した電力を有効に活用することで、さらなる省エネにつながる商品開発も取り組まれている。

 冬の暖房シーズンにおける、ちょっとした節電につながる工夫について、各社はサイトで加湿器を使って適正な湿度にして設定温度を下げる、サーキュレーターとの併用、小まめなフィルター清掃など、誰でもできる簡単な節電術などの情報提供にも注力する。

 23年度上期は、夏場の猛暑にもかかわらず、出荷は前年割れで推移するなど苦戦したが、実需では前年を上回るなど、強いニーズは健在だ。

 コロナ禍の巣ごもり消費により、20年度に1000万台を超えるピーク需要があり、先食いの影響が出て21年度、22年度と前年を割り込んで推移したが、900万台前後の需要はあると見られる。

 23年度下期に入って出荷も回復傾向がみられるようになり、今後省エネモデルへの買い替え提案が重要となる。