2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 日本電波工業 加藤啓美社長
加藤 社長
販売1000億円へ生産性向上に注力
今年度(2024年3月)は、上期はほぼ計画通りに推移したが、通期予想を下方修正した。今期は下期偏重型の計画を立て、下期に自動車生産回復やRU(小型基地局)の増加などを想定していたが、期待通りとならなかった。
当社の事業の柱は、車載と移動体通信、産機の3分野だ。
24年度の分野別見通しとして、車載用水晶デバイス市場では10%程度の成長を予想している。半導体不足時に水晶デバイス不足も指摘され、ユーザーの在庫積み増しが進んだことで在庫過多となったが、24年にはこれが解消される。
スマートフォンは、ハイエンド新モデルになるほどフォトリソブランク比率も上昇する。端末の生産台数自体はそれほど増えなくても、当社の強みが発揮できる仕様になってきている。当社はフォトリソ技術による差別化を維持できている。
一方、産機市場は当面は厳しさが続くと考えており、新規市場開拓に力を入れていく。
その一つとして、当社技術を応用して「Twin-QCM リアルタイムプロセスモニタ」を開発し、昨年、展示会に出品した。半導体プロセス形成の状態をリアルタイムでモニタリングし、製造工程のタクトタイム向上に貢献する製品で、既に供給体制を整備している。
カメラ用光学ローパスフィルターは、一眼レフカメラ向けのプロモーションだけでなく、映画用カメラ向けの展開が進展している。海外の映画用カメラメーカーへの拡販が進展し、インドの映画会社への納入なども進んでいる。
さらに、究極の高純度の人工水晶を活用した波長板の半導体製造装置向けの提案として、高出力レーザー用水晶波長板の開発も行っている。
これらの当社技術を応用した新しい製品の展開は、現在は種まきの段階だが、26、27年ごろにはある程度の実績が出てくることを期待している。
当社は、23年度から26年度までに累計53億円のDX投資を計画している。30年に売り上げを1000億円にする長期目標を立てており、そのためには間接部門の生産性も重要だ。間接と直接の双方の生産性向上のための投資に注力する。