2024.01.19 【LED照明特集】LED照明 トップが語る24年事業戦略 三菱電機照明 吉村恒則代表取締役社長

吉村 社長

施設のリニューアル需要軸に成長

 昨年は、部品の調達が安定し計画通りに生産できるようになった。エネルギー価格の高騰で省エネニーズが高まり、LEDへの関心も増したことで、事業は比較的堅調に推移した。原材料価格の高騰もあり、4月に価格を改定したが、マーケットには受け入れてもらえた。安定供給に向けて、生産の自動化にも投資した。

 国内市場は現状、新築よりもリニューアル需要がけん引している。施設や工場、倉庫向けなどを中心に当社も新製品を開発し、照明器具の裾野を広げている。こうした成果もあり、足もとの販売も順調。今後は、三菱電機グループとして空調といった他機器と連携させ、ソリューションとして提供する取り組みを具体化していきたいと思っている。

 省エネニーズの高まりで、照明制御への関心も高まっている。センサーや通信技術を生かした制御システムでは、より少ない人手で省エネ性の高い運用を可能にするなど、利点は大きい。当社では高天井用LED照明「GTシリーズ」でセンサーとの組み合わせ提案などを強化している。GTシリーズは特殊環境に対応するラインアップも整ってきた。工場はまだLED化しきれていないところも少なくないため、今後も力を入れていく。

 LED照明もモノからコトへのサービス展開が重要になっている。青空照明「(misola(みそら)」のように新たな照明の価値を提案するものから、定期交換が必要な非常灯のバッテリー状況をデジタル技術で効率化するものなど、今後、人手不足が深刻化することも予想されるため、次の手を打っていく必要性が高まっている。

 今年の市場環境は昨年と同じような状況になると見ている。堅調な施設のリニューアル需要を軸に、公共物件のLED化も進んでいくと思う。GTシリーズをはじめ、ベース照明「Myシリーズ」など主力製品の基本性能を強化しつつ、事業としても増収を目指していく。

 2027年末には、蛍光灯の製造と輸出入が禁止されることが決まった。これはLED照明への切り替えが進むフォローの風となる。人手不足への対応を含め、工場の自動化投資も経営バランスを見ながら今年も実施していきたい。