2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 ホシデン 古橋健士社長

古橋 社長

成長市場にさらにアプローチ

 2025年3月期通期業績予想で売上高2270億円、営業利益92億円を目指している。第2四半期時点で売上高は減少したが、営業利益は前年同期比23%増。売上高はアミューズメント向け以外が伸長。営業利益の増は移動体通信向けの収益率の改善とプロダクトミックスによる。

 使用機器別の売上高は、輸送機器向けでは音響部品が伸びて売上高で前上期比12%増の約151億円。移動体通信向けの売上高は約303億円で2桁以上の大幅な伸び。主要顧客向けの機構部品が伸びた。現場がよく頑張ってくれた。アミューズメント向けは前上期比24%の減少だった。

 当社は一昨年7月公表の統合報告書で、初めて中期経営計画(23~25年度)を開示した。その中には、顧客の需要に大きく左右されるアミューズメント向け売り上げの目標数値を外して開示した。

 各機器の売り上げ目標は移動体通信460億円、輸送機器380億円、その他220億円、新規事業100億円。合計1160億円を目標とするが、移動体通信向けは計画を達成。この勢いで、来年は伸びる市場にさらにアプローチを試みる。

 新規領域の医療機器、ヘルスケア、IoT向けの取り組みに加え、自動車向けも伸ばす。自動車向けはADASや安心、安全、自動運転などエレクトロニクス関連につながるニーズが強まっており期待したい。当社はマイクなどの部品を扱うが、車内の音声操作には同部品が必要。マーケットの広がりに対応したい。

 現在、オンライン展示会「HOSIDEN ONLINE EXPO 2024-2025」を開催中。展示会は21年に開催しており、3年ぶり。最新の製品・テクノロジーを披露している。同時にリアルの出張ベースの展示会も昨年10月から進行中。取引先の足元で行い、顔を合わせながら新商品を紹介したい。

 設備投資では現在ベトナムで8号棟を建設中。床面積2万4000平方メートルで屋上には太陽光パネルを設置する。25年秋頃に完成を予定。これにより、生産能力の増強ができる。また、米国での関税対策も含め、中国以外での国地域での拡張が可能になる。来年度は2桁アップの売上高を目指したい。