2025.03.03 10ナノクラスの最先端DRAM、マイクロンがサンプル出荷 EUV初採用
「1γDRAMノード」を採用した最先端DRAM
米マイクロン・テクノロジーは、次世代CPU向けの最先端DRAMで、回路線幅10ナノメートルクラス「1γ(ガンマ)DRAMノード」を採用したDDR5メモリーのサンプル出荷を開始した。同社の製造プロセスで初めてEUV(極端紫外線)露光を一部工程で採用。16Gb DDR5メモリーは最大9200MT/sの速度性能を持ち、前世代比で最大15%の高速化と20%を超える省電力化を実現した。
サンプル出荷は台湾工場(台北・台中)から開始される。現在、広島工場にもEUV露光装置の導入を進めており、2025年度中に試作を開始。26年から1γDRAMノードの量産出荷を計画している。
AI(人工知能)の普及により、データセンターやAI PCなどエッジデバイスのメモリー需要が増加する一方、データセンターの電力使用量が社会問題化している。IDCの予測によると、30年には世界の消費電力の8%をAIデータセンターが占めるとされる。この課題に対し、1γDRAMノードは高性能化と低消費電力化を両立し、顧客のニーズに応える。
マイクロンメモリジャパンDRAM開発部門の白竹茂シニアバイスプレジデント(SVP)は、「AIデータセンターの稼働には膨大な電力が消費され、今後ますます増加していく。1γDRAMノードではメモリー密度の増加とともに、低消費電力化に注力した。今回新たにEUV露光を活用し、マイクロンのDRAM開発は新たな節目を迎える」と述べた。
同社はこれまで、最先端DRAMの開発を主導してきた。同社によると、今回の1γDRAMノードのサンプル出荷も業界初という。今後は、さらなる先端ノードの開発に向けて従来のプレーナー型や、3D型などの検討を含め推進していく構えだ。
白竹SVPは「テクノロジーリーダーシップのポジションを維持できるよう、開発体制をより強固なものにしていく。米国のボイジ(アイダホ州)と広島がDRAM開発の中心地。連携を取りながら、次世代製品の開発に取り組んでいく」と強調した。
<執筆・構成=半導体ナビ>