2025.04.23 【Japan IT Week春特集】ブースの見どころ フジネット・システムズ
フジネット・システムズ創業者のグエン・ダン・フォン会長
オフショアで日本企業支援、AI開発にも注力
ベトナム企業のフジネット・システムズは、システム開発を海外企業に委託してコスト削減を図る「オフショア開発」で、日本企業の慢性的なデジタル人材不足をサポートしている。特に人工知能(AI)を組み合わせた開発支援に注力しており、日本企業の多彩なニーズに対応している。Japan IT Weekには3年連続の出展となる。
創業者であるグエン・ダン・フォン会長兼CEOは「日本のIT業界は高齢化が進み、人材不足が年々深刻化している。オフショアのニーズは確実に高まっており、中国から東南アジア、特にベトナムへの切り替えが加速している」と話す。
2000年に設立されたフジネット・システムズは、日本向けのソフトウエア開発に特化し、売り上げの約95%を日本市場が占める。内田洋行をはじめとする日本大手との取引実績を武器に、プロジェクト単位でチームを編成する「ラボ開発」で製造・小売り・公共・金融など多様な分野を手がけてきた。
特に注力しているのは、販売管理・生産管理をはじめとする基幹系システムや、AWSやマイクロソフトAzureなどへのクラウド移行を伴うデジタルトランスフォーメーション(DX)支援やEコマース、医療、官公庁向けシステム開発などだ。
2017年にはAI研究開発センターを設立。東京大学と連携するベンチャー企業と共同で、スポーツ分野の動作解析AIモデルを構築するなど、実績を積み重ねている。AIセンターには現在20人のエンジニアが在籍し、顔認証や画像処理、コールセンター教育支援、医療画像の解析といった幅広い案件に対応。NHKの取材を受けるなど年々日本国内での注目度が高まっている。
フォン会長は「超高齢化が進む日本社会にとって、AIの活用は避けて通れない。私たちはその一翼を担いたい」と強調する。
近年では、コーディング中心の単なる「下流工程」だけでなく、要件定義・基本設計といった「上流工程」への参画も増加。同社では50人規模のエンジニアが日本国内の現場に常駐し、業務理解を深める体制を整えている。
「上流工程を担うには、顧客企業の業務を深く理解する必要がある。そのためには少なくとも3年はかかるが、8~10年にわたって常駐している社員もおり、日本企業との長期的な信頼関係を築いている」とフォン会長は自信をのぞかせる。
ベトナム人社員の日本語教育にも力を入れており、外部講師を招いて週2回の研修を実施。日本語能力検定2級レベルを目指し、自社での教育体制が品質維持の鍵になっている。
同社の経営方針は「技術・誠実・着実な発展」。その理念のもと、着実に日本企業との信頼を築き、オフショア開発の新たなステージを切り開いている。