2025.12.17 三菱電機、運転者の飲酒状態を高精度に検知 新技術で交通事故削減へ

飲酒状態検知技術の全体像

 三菱電機は、運転中のドライバーの脇見や居眠りを検知する「ドライバーモニタリング(DMS)」の映像から非接触で取得した脈拍数や車体制御情報などを組み合わせることで、運転者の飲酒状態を推定する技術を開発した。技術の改良や評価検証を進め、欧州や米国での法規・アセスメント化に合わせて2026年以降、カーメーカーの車のDMSに搭載させるなどの実用化を目指す。

 同技術は、近赤外カメラを用いて取得したドライバーの顔映像から、脈動に伴う血流量変化による皮膚反射の微細輝度変動を抽出することで、非接触で脈拍数を計測する。走行時の振動や加減速、照度の変化などアルゴリズムに影響を与える外乱を抑制。脈拍数の変化にきめ細やかに対応させることで、飲酒による交感神経の活性化に起因する脈拍上昇を高精度に検出する。車載ECU(電子制御ユニット)にソフトウエアのアップデートをすることで搭載可能だ。

 同社は、DMSの映像から取得した脈拍数データや目の動き、車両制御情報を用いて、飲酒状態を判定するAI(人工知能)を開発した。脈拍数データを判定要素として追加したことで、飲酒による表情変化が分かりにくいケースでも、覚醒度の低下を高精度に判別できる。車載制御システムとの連携により、判定結果に応じた警告表示や運転制御を実現した。

 検知結果に基づくドライバーへの警告表示や運転制御などを通して、飲酒運転による交通事故の削減に貢献していく。