2026.03.13 欧州で進む空・海運の脱炭素化、独アーヘン工科大など 航空機用燃料電池の開発へ

エアバスも加わり航空機用燃料電池の開発がスタート(エアバスのホームページより)

独・デンマーク間で就航した排出ゼロタイプの貨物フェリー独・デンマーク間で就航した排出ゼロタイプの貨物フェリー

 電気自動車(EV)による陸上交通の脱炭素化が進む一方で、欧州では空と海でも脱炭素化に向けた次世代交通システムの開発が加速している。航空では2040年ごろの実用化をめどに燃料電池搭載機の開発が進み、海運ではドイツ・デンマーク間で大型ゼロエミッションフェリーの商用就航が始まっている。

 空の分野では、独アーヘン工科大学、欧州航空機大手エアバス、ドイツ航空宇宙センター(DLR)、独ブラウンシュバイク工科大学などの産官学のグループによる共同プロジェクト「GENtwoPRO」が、今月から活動をスタートさせた。

 このプロジェクトでは、独連邦政府経済・エネルギー省の助成を受け、100座席級の短距離輸送機向けに、水素を電力へ変換する低音型PEM燃料電池(LT-PEM)システムを開発する。現在市場に出ている燃料電池は、主にトラックやバス向け。航空機向けには適していない。そこでグループは、地域間での飛行を目的とした民間航空用としての要件に合うLT-PEM型燃料電池システムを3年かけて開発することにした。

 海上輸送分野では、デンマークのフェリー貨物輸送事業のScandlines(スキャンドラインズ)が世界最大級の電池駆動貨物フェリー「The Baltic Whale」をトルコで完成させ、1月に就航を開始した。

 同船は全長147.4m、幅25.4mの大型船で、総電池容量は10MWh。大型トレーラー66台分に相当する最大66フレイトユニットを積載できる貨物容量を備える。独フェーマルン島のプットガルテン港とデンマーク・ロラン島のロービュ港を結ぶ18.5kmの区間を就航し、航行時間は45分。この区間を温室効果ガス排出ゼロで運航する。デンマーク側のロービュ港にある高出力充電インフラを利用し、充電に必要な時間はわずか17分。乗客定員は最大140人となる。