2026.03.23 シャープ、38億円でシナプス買収 ERP分野強化
シャープの徳山SBS本部長(左)とシナプスの藤本社長
シャープは23日、ERP(統合基幹業務システム)分野の中堅企業であるシナプスイノベーション(大阪市北区、藤本繁夫社長)の全株式を38億円で取得し、子会社化したと発表した。シャープが国内でITサービス企業を買収するのは初。
これまでBtoB領域でシャープになかったERP分野の事業を取得することで、同分野での提案力を高めるとともに、AI(人工知能)・DX(デジタルトランスフォーメーション)サービスを強化し、スマートビジネス領域でのさらなる成長を目指す。
買収により、AI・DXサービス関連の売上高を、2024年度310億円から27年度に倍増の約600億円まで高める。
同社は、25年に策定した中期経営計画で「暮らす」「働く」領域でのブランド事業の強化を成長戦略に掲げる。
「働く」の事業領域では、人手不足やコスト上昇など企業を取り巻く経営課題が深刻化する中で、生成AIを活用した業務革新が進むなど、事業環境やニーズが大きく変化している。
BtoB事業の中核を担うスマートビジネスソリューション(SBS)事業本部では、強みとするハードウエアを起点に、エッジAIや通信、画像解析といったコア技術の実装による製品のスマート化を進めつつ、ITサービスと組み合わせたスマートビジネスを強化。働く現場の課題解決につながる独自のソリューション提案を目指す。
シナプスは、企業の生産・物流・販売などの基幹業務を一元管理するERP分野を中心にさまざまなソリューションを展開。中でも生産・販売管理におけるERPプラットフォームに強みを持ち、ERP導入から運用まで一貫して支援する高いシステムインテグレーション力が特徴だ。
同社を傘下に加えることで、オフィス事業領域における、複合機をはじめとする各種オフィス向け商材にシナプスのERPを中心とするITサービスを組み合わせ、提案力の幅を広げる狙いだ。
調達、受発注、会計、在庫管理など、部門をまたがる一連のバックオフィス業務でも、データ連携・一元管理を実現する。コンサルから導入後の運用まで一貫してサポートすることで、業務プロセスの効率化やDX促進に貢献する。
パブリックやリテールの領域では、決済や在庫管理、販売管理などに係る業務をシステム面から支援する。
POSシステムや周辺機器とERPの連携により、調達から販売、在庫管理までの情報を一元的に把握・管理できる仕組みを提供。現場の業務負担を軽減し、データに基づく店舗運営の高度化につながる提案を推進する。
また、ロジスティクス/ファクトリー領域では、設備点検や稼働管理などを通じ、製造や物流の現場データとERPを連携することで、業務の効率化や自動化を支援。ヒューマンエラーの低減や省人化、作業時間の削減に貢献していく。
今後、両社は連携を深め、商材のみならず、顧客基盤や販売チャネルを相互に活用したクロスセルの強化にも取り組む。
加えて、シャープが複合機事業で長年培った国内外の販売・サポート体制を基盤に、グローバルでの事業強化を進めていく。
さらに、フィジカルAIや量子アニーリング技術などを活用し、省人化や省エネルギー化などの社会課題の解決につながる新たなソリューション創出を目指していく方針だ。
徳山満SBS事業本部長は「シナプスを買収したことにより、今まで一番足りなかったピースが埋まり、ハード・ソフト両面で顧客の課題解決をワンストップソリューションとして提供できる体制が整った」と話し、大きなシナジー創出に期待を寄せる。
またシナプスの藤本社長は「シャープは電卓や携帯電話などデータの入り口となるハードが得意で、われわれにない強みを持つ。日本の高度なモノづくりの基盤を支えるERPとの親和性は高い。大きなシナジーに期待し、海外展開も加速させたい」と話す。
なお、シャープの徳山満SBS事業本部長は、4月1日付でシャープの執行役員CTO(最高技術責任者)に就任すると同時に、シナプスの代表取締役会長にも就任。引き続きスマートビジネス事業の拡大加速をCTOの立場からサポートする。
またSBS本部長は、小林繁執行役員Co-COO (共同最高執行責任者)兼スマートワークプレイスビジネスグループ長が兼務する。






