2026.05.12 ソフトバンク、国産電池事業開始 堺で27年度に製造開始 30年度売上1000億円超目指す

革新型バッテリーセルの技術特性のイメージ

 ソフトバンクは11日、AI(人工知能)の普及で急拡大する電力需要に対応するため、国産バッテリー事業を始めると発表した。革新型バッテリーセルや先進技術を搭載した蓄電システム(BESS)の開発から製造まで国内で一貫して進める。2027年度にバッテリーセルと蓄電システムの製造を開始し、2028年度をめどに年間ギガワット時(GWh)規模の量産を目指す。2030年度には同事業で1000億円以上の売上規模を狙う。

 同社は大阪府堺市にあるシャープの工場跡地に、AIデータセンターを核とした「AXファクトリー」と「GXファクトリー」を構築する計画を進めている。GXファクトリーでは、革新型バッテリーや太陽光パネルなどを製造する。国産バッテリーは、自社で構築する大規模AIデータセンターに導入する予定。国内の電力系統向けや工場などの産業向け、家庭向けに順次提供し、中期的には海外市場も視野に入れる。

革新型バッテリーセルの技術特性のイメージ

 事業開始に当たり、最先端のバッテリー関連技術を持つ2社と協業する。バッテリーセルでは、COSMOS LAB(コスモスラボ)と組み、高い安全性と優れた蓄電性能を兼ね備えた革新型バッテリーセルの量産化に向けた共同開発を始めた。COSMOS LABが持つ亜鉛ハロゲン化物バッテリーは、電解液に真水を使う。現在主流のリチウムイオンバッテリーが抱える発火リスクを解消できる点が特長だ。

 革新型バッテリーセルは、将来の電池技術として注目される2種類の革新型電池の技術を統合したもの。正極にハロゲン化物、負極に亜鉛を採用し、エネルギーロスが少ない充放電特性を備える。リチウムイオンバッテリーと同等以上のエネルギー効率を実現するという。可燃性の有機電解液を使わず、真水を電解液に使うため、原理的に発火リスクが発生しない構造。主要原材料のハロゲン化物や亜鉛などは日本国内で調達でき、サプライチェーンの強化にもつなげる。

 蓄電システムでは、DeltaX(デルタエックス)と協業する。同社が持つCCS(Cell Connecting System)設計とCTP(Cell to Pack)技術を活用し、バッテリーセルの性能を最大限に引き出す。部品点数の削減や筐体内の無効スペースの圧縮により、高エネルギー密度と軽量化、低コスト化を図る。商用の標準的な20フィートハイキューブコンテナ型で5.00MWhを超えるエネルギー密度を持つ世界最高水準の蓄電システムを目指す。

 ソフトバンクは、これまでの電力事業で培ったAIによる電力需要予測機能を持つエネルギーマネジメントシステム(EMS)も組み込む。電力需要や再生可能エネルギーの発電状況に応じ、充放電を最適に制御する。AI時代の電力需要拡大に対応し、電力の安定供給と効率的なエネルギー利用を支える次世代電力インフラの構築につなげる。