2021.07.16 【電子部品技術総合特集】若手技術者に聞く アルプスアルパイン 技術本部 開発部3グループ 猪股智

猪股氏

 電子部品メーカーが持続的な成長を遂げていくためには、新技術・新製品の継続的な開発が重要。このため、主要電子部品メーカー各社は、新卒、中途採用、国籍などを問わず、優秀なエンジニアの採用と育成に常に全力を挙げている。特に次代を担う若手の技術者の開発への意欲や柔軟性は、各社の将来の成長を左右する大きな要素となる。

AI活用のにおい検知アルゴリズム開発に力

 近年の市場では、技術進化のスピードが速まり、技術の高度化が進むとともに、要求される技術も一段と多様化している。各社は、より良い人材を採用するための活動に今まで以上に力を注ぐとともに、独自の技術系人材育成プログラムの実施や技術者の社内評価制度の最適化など、工夫を凝らしながら人材育成に努めている。

 主要電子部品メーカーで製品開発や要素技術開発、生産技術開発などを手掛ける若手技術者に、研究開発への取り組みを聞いた。現在の担当業務や自己の得意技術、将来開発したい製品や今後の目標などを語ってもらった。

 私は現在、ガスセンサーを使ったにおいセンシング技術の開発に携わっています。

 室内や自動車内など多くのにおいが混在する空間で特定の悪臭のみを検知する技術や、建屋内の火災初期段階にわずかに発生するにおいを検知して、火災を早期予兆する技術をメインに開発を進めています。

 このようなにおいセンシング技術の開発を行っている企業は多くあるため、他社と差別化が図れるよう人工知能(AI)を活用したにおい検知アルゴリズムの開発に力を入れて取り組んでいます。

 現在はガスセンサー単体の使いこなし方法を模索している段階ですが、将来的にはアルプスアルパインの強みであるセンシング技術を活用し、ガスセンサー以外のいろいろなセンサーと組み合わせたアルゴリズムを構成することにも挑戦していきたいと考えています。

 においという曖昧なものをセンシングすることは技術的にも難易度が高く、未知な部分も多いですが、新たな発見も多く、やりがいを感じています。