2021.10.27 電子機器トータルソリューション展開幕約2年半ぶり東京ビッグサイトで

開幕初日の会場内の様子

 電子回路基板の設計・材料から最終製品までの最新技術を公開する技術展示会「電子機器トータルソリューション2021」が27日、東京ビッグサイトで開幕した。コロナ禍による中止や延期を経て、約2年半ぶりの開催となった今回は、国内外から計203社が出展。高機能化が進む自動車や、第5世代移動通信規格5Gスマートフォンなどを支える最新の基板製品・技術が一堂に紹介されている。

 最近の電子回路基板市場では、自動車向けでは、電動化の進展を背景にモーターを駆動するインバーター、DC-DCコンバーター、オンボードチャージャー、バッテリーマネジメントシステム(BMS)といった高放熱、大電流を要求する基板需要が拡大している。

 スマートフォン、モジュール、半導体パッケージ用のプリント配線板は、搭載製品の小型高性能化に伴い、高密度化技術が一段と進展している。モジュール基板では、多層板の内層にICや抵抗器、コンデンサーなどを埋め込み、基板表面にも部品を実装することで基板面積を小型化できる部品内蔵基板技術なども注目されている。

 同展示会の中核を担う「JPCA Show」には、プリント配線板メーカーや、基板材料・製造装置などのメーカーが多数出展し、最新技術や採用アプリケーションなどをデモを交えて紹介している。

 プリント配線板大手のメイコーは、開発提案型商品として、RF4-FLEX基板と銅インレイ基板を組み合わせた「3D実装放熱基板」を紹介。筐体形状に合わせてFR-4で作られたリジッド基板を折り曲げる技術と、400W/m・kの熱伝導率を持つ銅ピンを基板に埋め込むことで、表層の熱を直接裏面に放熱させることが可能。自動車の電動パワーステアリングや電源用途などに適している。昨年、第16回JPCA賞を受賞した、大電流・高放熱に対応するスルホールめっき技術「メガスルホール」の適用事例も紹介した。

JPCA Showでは車載、5G向けなど最新の電子回路基板技術を紹介している(メイコーブース)

 FPC(フレキシブルプリントサーキット)では、山下マテリアルが、開発品の「超微細回路高周波FPC」を出展。LCP(液晶ポリマー)をコア材としたセミアディティブ法(SAP)により、高密度・高周波のFPCが提供可能。沖電線も、高温度環境や高湿度環境に対応する「耐環境FPC」をはじめ、FPCの最新技術を紹介した。

 材料関係では、三菱ケミカルが、5Gなどの高速通信基板用低誘電材料として「New-IBUKI(ニューイブキ)」を参考出品。低温加工性とはんだリフリー耐熱性を両立する材料で、230度の低温での1回のプレスで多層化でき、銅箔との密着性も高い。同社が10年ほど前に開発した旧IBUKIを改良し、旧IBUKIの半分以下の誘電正接とすることで、5G基板への採用を目指している。

 デンカは、5G/6G向け誘電正接フィラーを紹介した。次世代通信での樹脂組成物の誘電特性コントロールを提供する。日本電気硝子も、低誘電正接LTCC(低温同時焼成セラミックス)材料やLTCC基板の新製品を紹介している。

 ロボット関連では、クラボウが先週発表したばかりの3次元センサー「クラセンス」を用いたBtoB(基板対基板)コネクターの締結自動化ソリューションを展示。位置ずれの補正に加え、力覚センサーにより締結を確実にすることで歩留まりの改善が期待できる。

 このほか、ニコンが3次元実装のロボットシステムを紹介したほか、日本電気硝子などがブース出展している。