2022.01.13 【放送/機器総合特集】放送機器各社 22年の戦略パナソニック コネクティッドソリューションズ社 貴志俊法副社長メディアエンターテインメント事業部事業部長

貴志 副社長

4月に統合で新会社

現場プロセスイノベーションを加速へ

 今年4月にパナソニック コネクティッドソリューションズ社とパナソニック システムソリューションズ ジャパンなどを統合し、パナソニック コネクトに生まれ変わる。統合により、開発と販売が一体となって、お客さまのニーズをより迅速かつ的確に把握できるようになる。今後はこれまで以上に多様な「現場」に寄り添い、映像・音響のコンテンツ制作現場のプロセス変革に貢献したい。

 引き続きコロナの影響は放送業界にも及んでいるが、リモートカメラをはじめ放送・業務用映像機器システムは順調に推移している。放送局の番組・ニュース制作にもリモートカメラが活用されており、前年比150%強と好調だ。2008年の発売以来、累計販売台数は20万台を超え、現在グローバルマーケットシェアナンバーワンとなっている。また、多くの現場から支持され、スタジオサブシステムは国内シェア40%以上を、ファイルベースシステムは同30%以上を誇る。

 当社は現場の声を、製品やシステムの開発に生かしてきた。今後は現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する「現場プロセスイノベーション」を加速させたいと考えている。

 近年、視聴者のライフスタイルが多様化している背景から、多彩な映像配信を効率よく実現できる基盤づくりを目指してきた。その一つが、次世代ライブ映像制作システム「IT/IPプラットフォーム〝KAIROS(ケイロス)〟」だ。

 以前から映像制作現場を変革するリモートプロダクションを提案し、効率化と省力化に貢献してきたが、今後はKAIROSを中心に、コンテンツ制作現場の「撮る・創る・映す」という三つのワークフローを効率化して、お客さまとともに新たな価値を創り出していきたい。放送スタジオに限らず、スポーツなどのイベント、企業ウェブ配信など、さまざまなシーンに活用でき、国内外で採用され始めている。

 KAIROSはオープンプラットフォームとして、他社製品やソフトウエアなども組み合わせて使えるため、多彩な制作現場に訴求できる。

 多様化するコンテンツの視聴形態にも対応していく。スポーツのオンライン配信のほか、企業のオンライン会議や学校のオンライン授業など、放送以外の幅広い分野で映像制作のニーズが高まっており、より柔軟に制作ワークフローを利用できるようにしていく。

 今春には、システム構築型(オンプレミス)KAIROSをベースにクラウド化した「KAIROS クラウドサービス」を始める予定だ。時間・場所に制約されずに映像コンテンツの制作や多彩な演出をサポートする。富士スピードウェイでのモータースポーツ大会〝インタープロトシリーズ〟の中継ライブ配信で実証実験を行うなど、新サービスにより、今まで接点がなかった企業にも提案していきたい。

 省力化を支援するリモートカメラに関しては、これまでさまざまな業界のお客さまのニーズに応えてきたが、新たに5機種を発売し、ハイエンドからスタンダードまで豊富なラインアップをそろえた。今後は放送業界に加えて、企業や文教などの新しいコンテンツ制作市場の両方の軸で提案していく。

 社会(業界)が変化する中、当社は常にお客さまの現場の声に耳を傾け、製品やサービスの開発を続けてきた。今後も新しいニーズを予測しながら、現場の課題を引き出し、解決していく製品やソリューションをお客さまとともに共創していきたい。

 今年もハードウエア技術を持つ強みを生かしつつ、「モノ+コト」のパナソニックらしいソリューションを提供していく。