2022.06.02 【パワーデバイス/ロボット・ドローン用部品技術特集】パワーデバイス技術の高度化進む高周波スイッチング関連部品の開発に力

SiCパワー半導体6インチウエハー(デンソー)

ドローン向けのリモートID機器(アルプスアルパイン)ドローン向けのリモートID機器(アルプスアルパイン)

 電源の小型・高効率化・大電流化に向け、パワーデバイス技術の高度化が目覚ましい。高周波スイッチング化に向けてスイッチング素子の新製品開発が活発化していることを背景に、関連部品の技術開発に力が注がれている。一方、国内外での成長期待の高いロボット向けの電子部品開発も活発。高性能化が進むドローン(無人飛行機)も、小型で高性能な電子部品の需要を創出する分野として重要視されている。

電源技術

 最近のスマートフォンは、5G化により高機能化が進んでいる。5Gスマホは多機能化の進展でDC-DCコンバーターの搭載点数が増えるとともに、電池の大型化が進み、基板面積は小さくなっている。

 このため、DC-DCコンバーター用部品には、従来以上の小型化が要求されている。積層セラミックコンデンサー(MLCC)は、小型・大容量化の追求が活発。パワーインダクターは、フェライトからコア材料をメタル系に代替し、巻線、積層、薄膜などのプロセスで小型・大電流対応を推進する。

 自動車分野では、電動車シフトが加速している。xEVは動力にモーターを使用し、コントローラー(制御装置)、発電機、インバーター、二次電池、DC-DCコンバーター、充電器などがモーター駆動の重要要素となる。

 こうしたパワー系ユニットに実装する電子部品には、高い信頼性が要求される。

 再生可能エネルギー入力や高電力密度電池による省エネ給電システムにインバーター回路を組み合わせた双方向コンバーターが実用化され、さらにDC-AC変換損失を回避する高電圧直流給電システム用電源の開発も進んでいる。

次世代パワー半導体技術

 次世代パワー半導体として、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)デバイスの技術開発が加速している。シリコン(Si)製に比べ、耐高温・高電圧特性や大電流特性に優れ、電力損失も大幅に削減が可能。モジュールの軽量・小型化と省エネ・高効率化を実現する。さらに、第三の次世代パワー半導体材料として、酸化ガリウム(Ga₂O₃)の開発も進み、注目を集めている。

 幅広い電気機器の電力変換器に搭載されるIGBTの性能改善も追求されており、スイッチング時の電力損失を大幅に低減できる新構造のシリコンIGBTなどが開発されている。

ロボット・ドローン用部品・デバイス技術

 ロボット搭載部品には、モーターやセンサー、アクチュエーター、光学部品、無線通信モジュール、タッチ操作デバイス、音声認識デバイス、電源、回路部品、接続部品などがある。

 ロボット用センサーは、機器の高性能化に伴い、一層の高精度化や小型軽量化、耐振動性などが求められている。センサーメーカーは、MEMS技術とパッケージング技術等を駆使することで、次世代ニーズに対応している。

ドローン用部品

 ドローン開発では、無線技術や撮像技術、センシング、バッテリーなど多様な技術が必要。事故防止のための信頼性要求も極めて強く、部品への小型・軽量化ニーズも強い。このため、電子部品各社は、次世代ドローンの小型・高性能化や信頼性向上に寄与する製品開発に力を注いでいる。