2022.09.01 【コネクター/インバーター関連部品技術特集】超小型・高性能コネクター開発進展 インバーター部品開発も活発
5Gミリ波アンテナモジュール用コネクター(日本航空電子工業)
電子機器・装置の小型・高機能・高性能化に伴い、コネクター技術が高度化している。モバイル機器向けは、5Gスマートフォンやウエアラブル端末向けの超小型・高性能コネクターの開発が進展。車載では、CASE領域向けに、高速伝送対応や大電流・高電圧対応などの技術開発が進む。産機/インフラ向けも、小型・大電流タイプなどが拡充されている。また、環境・省エネ要求の高まりを背景に、各種インバーターの小型・高効率化を支える電子部品開発も活発となっている。
コネクター技術
車載用コネクターは、ADAS/自動運転の高度化に向け、車載カメラ用やミリ波レーダー用、LiDAR用などの安全系コネクターの開発が活発。車載カメラ用は、車載デジタルセンシングカメラ向けに、1メガ/2メガピクセルなどの高画素カメラ対応の高速伝送対応製品の開発に力が注がれる。車載イーサネット対応コネクターの製品化も進んでいる。
xEV用は、車載インバーターやコンバーター、車載モーター、バッテリー周りに使用される大電流/高耐圧製品の開発が活発で、さらに、e-Axle(トラクションモーターシステム)へのアプローチなどにも力が注がれる。エンジンルーム周辺用に、125/150度対応などの高耐熱FPCコネクターも開発されている。
高機能モバイル端末向けでは、基板対基板コネクターは、0.4/0.35ミリピッチなどのファインピッチ化が進み、0.3ミリピッチ品も量産化されている。高周波対応のため、ノイズ対策も重視される。急速充電対応や防水性向上も追求される。
産業機器/製造装置などに使用される産機用コネクターは、小型・軽量かつ高品質・高強度の産業用防水コネクターや高速大容量伝送用コネクターのラインアップ拡充が進んでいる。
産機向けのFPC/FFCコネクターは、生産性向上に寄与するフリップロックタイプやワンアクションタイプなど作業性に優れた製品開発が進展。設計の最適化により、挿入力を低く抑え、抜去力を強く保つことができるワンアクションタイプFPC/FFCコネクターなどが開発されている。
テレコム/データコム関連では、高速通信インフラやデータセンター、次世代ストレージ向けに、112ギガbpsや56ギガbpsなどの超高速伝送対応製品の開発が進んでいる。
インバーター関連部品技術
インバーターは、省エネ化ニーズの高まりを背景に、用途が拡大している。従来の製造装置や空調システムに加え、xEVや再生可能エネルギー機器での需要も広がっており、インバーター回路を構成するパワーデバイスや回路部品などの技術開発が活発となっている。
抵抗器は、インバーターの高効率化に寄与する電流検出用途向けのシャント抵抗器の小型・高性能化が進んでいる。インバーター回路では容量負荷や誘導負荷が多数存在し、回路内でサージやパルスが発生するが、こうした用途向けにサージ・パルス負荷への耐性を高めた製品も開発されている。
コンデンサーは、平滑コンデンサーとしてアルミ電解コンデンサーが多用され、小型かつ大容量で、高リプル、低ESRといった特性が追求されている。
パワーデバイスは、シリコンベースのMOSFET、IGBTが、定格電圧、定格電流などにより、用途に最適化する形で供給されている。さらに、従来のシリコン半導体に比べ、大幅な電力損失低減につながるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を使用したスイッチングデバイスの開発も加速している。最近は、酸化ガリウムを利用したパワーデバイスの研究開発も進んでいる。