2023.08.09 【コネクター特集】産業用高速伝送対応コネクター

112ギガbps PAM4対応ハイスピードI/Oケーブルシステム

次世代DCなどの高速化に対応

 コネクターメーカー各社の産業用高速伝送対応ソリューションの技術開発が活発化している。各社は、データ容量増大に伴う次世代データセンター(DC)や人工知能(AI)サーバーなどでの高速伝送要求に対応し、高周波・高速伝送対応コネクターやケーブルアセンブリーの技術開発・提案に力を注いでいる。

 第5世代移動通信規格5Gの普及やビッグデータ、AI、IoTなど、クラウドデータ量の増大に伴い、これらのデータをより早く、安定した通信を行うことが求められている。

 このため、データセンターでは、現在、伝送速度の主力が56ギガbpsに移行しているが、次世代の112ギガbps伝送への高速化に向けた技術開発も急ピッチで進んでおり、徐々に実用化に向かっていく見通しだ。

 さらに、次々世代の224ギガbpsについても、数年後には実用化が予想されており、データセンター機器の224ギガbps伝送への高速化、高密度化を実現するためのソリューションも提案されている。

 データセンターでは、情報システム機器を運用するために必要な物理的スペースと電源や空調設備などが重要なため、運用にかかる負担を軽減することも課題となる。また、データセンターでは電力も大量に消費するため、データセンターの増加に伴う電力消費量増大を抑制するための技術も求められている。

 コネクターメーカー各社は、こうしたニーズに対応するため、データセンターやサーバー、通信基地局などの大容量・高速伝送化に対応するための112ギガbps PAM4対応の高速伝送対応ソリューションの開発を強化している。

 各社は、高周波・高速伝送対応コネクターや、EMC対策に優れるフルシールド製品などのソリューションの提供により、エンタープライズ領域での課題解決を目指す。

 次世代データセンター向けの高速伝送対応ソリューションは、欧米系コネクターメーカーを中心に、一部、日系コネクターメーカーでも開発を強化しており、先進的なソリューションが提案されている。

 112ギガbps PAM4対応コネクターの開発では、データセンターにおける高速化、高密度化のボトルネックとなっていたASICと光トランシーバーI/Oの距離を短縮することで、伝送損失を低減し、データセンターの高速化と高密度を実現する新構造の開発や、システムの冷却性能向上によりデータセンターの低消費電力化が図れる独自のエア取り込み構造などが提案されている。

 また、次世代高速伝送ニーズに対応し、よりプロセッサーに近い基板上で光電変換を行うことで、基板上の電気配線距離を短くし、伝送損失を大幅に低減する超小型アクティブ光モジュールなども開発されている。