2023.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】東芝情報システム 根本健社長
AI関連の研究開発に力
組み込みシステム事業を拡大
当社は、創立61年の長い歴史を持つが、2021年からは組込みシステムの事業会社として新たなスタートを切った。組み込みソフトウエア開発と半導体設計を事業の柱として取り組んでいる。
当社の業績は、22年度が計画を上回り、過去最高を記録した。23年度は半導体設計はメモリー需要の低迷で市場の回復が遅れており厳しい環境にある。一方、組み込みソフトウエアは、自動者業界のEV化の大きな流れもあり、当社の強みとするパワートレイン制御、自動運転、先進運転支援など車載分野が好調である。また、社会インフラ分野も堅調に推移しており、全社業績は22年度並みの高い水準で推移する見通しだ。
本年6月に社長に就任したが、これまで培った当社の強みを継承し、事業を継続して大きく成長させていくために二つのことに重点を置く。
当社は半導体の設計から組み込みソフトウエアまで一貫して対応できる、国内でも数少ない組み込みシステム事業会社である。これまでのお客さまとの信頼関係、技術力、組織力を強みに大規模で難易度の高いエンジニアリングを提供していく。
もう一つは、研究開発への取り組みの継続である。当社の研究開発のうち約3分の1は人工知能(AI)関連に取り組んでおり、先端技術を使ったサービス化を進めている。また、東芝グループの研究開発センターで生み出された技術を使い、新たな商材を提供していく。
AI関連では、お客さまから預かったデータから大量の教師データを自動作成し、短期間で提供する「自動アノテーションサービス」や、LSIなどの検査工程で観測した波形特性の「自動判定サービス」を開始している。また、自律制御システムに用いられるSLAM技術の開発にも取り組んでおり、自動運転、工場内搬送など広く応用が期待される。
AIは、お客さまに提供する商品やサービスだけでなく、当社内の業務効率改善など身近なツールとして活用することを目的に、全社員がAIの知識を身に付ける活動も推進している。また、AI以外では、世界的にセキュリティー技術への要望が高まっており、当社においても組み込み機器のセキュリティー強化IPやソフトのライセンシングや違法コピーを防止するIPを積極的に拡販していく。
創立70周年に向けさらなる成長を目指し、組み込みシステム事業の維持拡大の一方、新商材開発やライセンスビジネスなど事業領域を拡大させたい。