2023.10.17 【CEATEC 2023特集】 新たな「CEATEC体験」を デジタルイノベーションの総合展示会 鹿野清エグゼクティブプロデューサー語る
会見する鹿野氏
パートナーズパーク 新しい展示のあり方さらに
鹿野清エグゼクティブプロデューサーは、開幕を控えた16日の記者会見や電波新聞などの取材で、「CEATECは、デジタル産業を支える人たちとデジタル技術を活用する人たちが一堂に会し、デジタル技術の発展や社会実装はもとより、デジタル技術に親しみ、学び、共創する場を提供することで、社会を豊かにすることを目指す『デジタルイノベーションの総合展示会』だ」と意義を説いた。会見などの主な発言は次の通り。
今年はあえて、「新たな『CEATEC体験』」を掲げている。展示を「見て」、コンファレンスを「聴いて」、未来の社会を「感じて」「考えて」、共創に向けて「動き出す」ことを描く。新しい、ということを打ち出している。
「見て」では多彩な展示を展開。出展者数は684社/団体、うち初出展は305社/団体と半数近く、いい意味での新陳代謝を重ねている。
デジタル田園都市をテーマに掲げるパートナーズパークでは、テクノロジーで社会課題を解決するソリューションや未来の社会や暮らしが体験できる展示が多数披露される。展示会というと、個社が出展するイメージが強いが、共通のプラットフォーム、グループ出展の形。22テーマで、133社が参画する。
テーマ別にうまくまとまっており、興味のあるテーマをぜひ訪れてほしい。2年目にはなるが、新しい展示の形態で、いずれ全体がこの形態になることも目指す。
海外・新興も多数
海外出展社も195社/団体。初めてパビリオンを出すウクライナや、中東なども含め21カ国・地域から多様な出展者が集う。
スタートアップ/大学研究機関出展者数も153社/団体に達する。サステナビリティー(持続可能性)、ウェルビーイング、ビジネスイノベーション&クリエイション、イノベーティブな技術・研究開発、といったテーマになる。これだけ多く参加いただくと、探すのに苦労されるという面もあり、初の試みとして、共創のプロが気鋭のスタートアップ企業を厳選して紹介するウオーキングブレストを導入する。海外の展示会では多くある取り組みで、反響をみて来年、さらに大規模に展開したい。
コンファレンス重視
次に重視するのはコンファレンス。オンライン配信に加えて、4年ぶりに幕張メッセでも実施。ピッチイベントなども含め展開する。展示会場に隣接してピッチを設け、展示だけで説明しきれないものをセミナーなどでリンクする形でも展開する。合計で200を超えるコンファレンスが予定されている。
特に、初日は1000人超の収容できる会場を準備し、注目のコンファレンスが開かれる。一つは、企業、人材、多様性などさまざまな視点から、持続可能な社会をどう実現するか、個人の才能・力をどう引き出すか、などと話し合う。
高市早苗経済安全保障担当相に、政府の最新のAI(人工知能)戦略を話していただける。コンファレンスに大臣が登壇するのは初めて。急速に加速している生成AIなどについて、いかに可能性を持つか、またどういった課題があるかなどを議論する。
閣僚のご登壇としては、続くデジタル田園都市国家構想を巡るコンファレンスにも、河野太郎デジタル相が来てくださる。デジタルのサービスは、地方で既に実装が進んでいる。そうした、既に進んでいる先進例の共有もされる。
オンラインの展示会は、人数や場所の制約がないという利点はあるが、やはり実際に対話をし、展示に触れ、コンファレンスを聞き、といった形の利点は大きい。
大変興味深い内容のコンファレンスと展示なので、ぜひ足を運んでほしい。
鹿野氏の会見や取材での主なやりとりは次の通り。
-次世代、というキーワードについて改めて。
鹿野氏 もともとCEATECは学生さんが5000~6000人前後来場する、といった特長があり、ほかに例を見ない。また、改めて足元を考えてみると、デバイスにしても技術にしても、次世代のものを各社が手掛けている。そういった意味を含めて「次世代」を打ち出した。
-かつての家電の見本市から性格が変わってきたが。
鹿野氏 いまは(BtoCではなく)ほぼビジネス目的の展示・来訪になっている。またITやエレクトロニクス関連だけではなく、建設など業界の幅広さも特長。職位、職種の多様さも特長だ。技術、開発の担当者から、営業やマーケティング、経営のトップ層まで一堂に集まる。
-パートナーズパークのあり方が今後の主流でしょうか。
鹿野氏 個社だけでは成り立たない時代。海外ではオープンイノベーションが一般化している。日本はその点で遅れていた。共同で取り組む時代だ。CEATEC全体がパートナーズパークになるくらいの意気込みだ。
-パナソニックのように、CEATECに戻ってきた企業もある。
鹿野氏 環境問題への対応などはっきりしたコンセプトを打ち出す企業も増えてくる。製品や技術を紹介するだけでなく、サービスやソリューション全体となると、やはり対話をしないと伝わらない面が大きい。
-環境、サステナブルという点も前面に出ている。
鹿野氏 はっきり打ち出すのは今回が初めて。サステナビリティーの言葉を使う企業が一般的になっている。展示会の運営の在り方も、電力調達や会場の資材など取り組みを進めている。
-生成AIは。
鹿野氏 ほとんどの出展で、何らかの形でAIが関わっていると言っても過言ではない。CPS、IoTとくれば、そのビッグデータをどう活用するかということになる。
-国際的にみてどうか。
鹿野氏 CESやIFAとはかねて連携しており、この三つは代表的な国際的展示会だが、性格の特徴づけが出てきた。CESはテクノロジー中心に舵を切った。CEATECもメッセージを発信する場として、また業界の情報を交換する場としてさらに浸透したい。