2024.07.07 「まるで映画館」 薄いのに立体音響、4Kテレビのスピーカーが進化 パナは出力強化、レグザは18個搭載

TVS REGZAはマルチアンプで18個のスピーカーを駆動し、立体音響を実現

パナソニックは天井に向けたイネーブルドスピーカーをいち早く採用し立体音響を訴求パナソニックは天井に向けたイネーブルドスピーカーをいち早く採用し立体音響を訴求

 リビングに設置するテレビの大画面化が進む中、迫力ある映像に負けない音づくりにテレビ各社が力を入れている。特に映画館のような立体音響システムの進化が著しい。最近はAI(人工知能)の活用も目立っており、今年も音響技術に磨きをかけた新製品が各社から投入されている。

 各社から相次いで発表されているテレビの2024年モデルは、画質と音質が大きく進化している。

 スピーカーを天井に向け配置し、音を天井に反射させて包み込むような音場をつくるイネーブルドスピーカーをいち早くテレビに取り入れたパナソニックは、高級オーディオブランド「テクニクス」の技術ノウハウを活用したスピーカーシステムを前面に出す。4K有機EL「ビエラ」上位機のZ95Aは、160Wの高出力を実現した「360立体音響サウンドシステム+」を搭載。複数のスピーカーユニットを画面下に前向き配置したラインアレイスピーカーやイネーブルドスピーカー、画面左右方向に向けたワイドスピーカーを加え、立体音響を実現した。画面背面にはウーハーと低音を増幅するパッシブラジエーターを付け、迫力のある重低音を再生する。

 シャープは、4K有機ELアクオスなどのフラッグシップ機に、画面の上下にスピーカーを配置し、音を遮らず前方に出す「アラウンドスピーカーシステムプラス」を搭載。スピーカーは100Wの高出力で駆動し、画面背面のウーハーで低音を再現するとともに、マグネットの磁力を高めたパワーボイススピーカーで歯切れの良い音を実現している。画面上に配置したハイトスピーカーを前面に20度傾斜させることで、包み込まれるような音場を楽しめる。

 TVS REGZAは、4K有機ELとミニLED液晶の「レグザ」のフラッグシップの音響システムを刷新。有機ELはテレビ上部と左右、画面中央下、背面の重低音バズーカなど新開発の18個のスピーカーを180Wのマルチアンプで駆動し、5.1.2chの音場を実現する。新開発の「レグザイマーシブサウンド360プロ」で、本格的な立体音響が楽しめる。ミリ波レーダーを使い、視聴する人の位置に合わせて音を自動で最適化する機能も付く。

 各社のテレビ上位機では、迫力のある高画質映像と音を手軽に楽しめるようになってきた。サウンドバーやホームシアターシステムにステップアップできるよう、スピーカーシステムをそろえるメーカーもある。新製品で壁掛けテレビを訴求するLGエレクトロニクス・ジャパンは、壁掛けできるサウンドバーを発売しているほか、ソニーやTVS REGZAもサウンドバーやホームシアターシステムを発売している。