2024.09.20 【電子部品メーカー/商社 ASEAN特集】ASEAN拠点 カナデン 半導体・デバイスに加え省エネルギー分野に力

守屋 専務

 カナデンのASEAN戦略は工場自動化(FA)、半導体・デバイス、新たに省エネルギー分野にも注力し、シンガポール、タイ、ベトナムから主に日系企業へ拡販する。

 タイとベトナムは人員を増強。海外を含む各関係会社を統括する守屋太専務取締役事業統括室長は「現地でも三菱電機との連携を強化」としつつ、事業拡大に自信を深める。

 同地域の関係会社では、カナデンシンガポールが各国へ半導体・デバイスを納入。タイはカナデンタイ、カナデンソリューションズ(タイ)、カナデントレーディング(タイ)の3社が現地でFAを主軸にカナデンタイでは半導体・デバイスも取り扱う。カナデンベトナムはFAなどに加え工場のデータ収集分析などを行うモノのインターネット(IoT)製品にも強みがある。

 タイ、ベトナムでは直近数年で日系企業が中国から工場を移設・増設するなか、FAで大型を含む「複数の案件を受注している」(守屋専務)。必要に応じ日本から人員を送り、技術と納期で「日本品質」を確保し信用を勝ち得た。

 タイからベトナムへの人員派遣、中国からベトナムへの情報共有と拠点同士も連携する。

 タイは地元の財閥企業サイアム・モーターズ・グループのSI企業であるサイアムスマートソリューションズ社とも協力。直近3年間で三菱電機製FAコンポーネント売り上げは倍増した。

 ベトナムも一部現地SI企業と協力。韓国液晶装置メーカー関連の顧客もあり、スマートフォン生産の回復に伴い事業が立ち上がっている。

 注力する省エネ分野はグラフテック社製の空調特化型システム「アイグリーズ」をタイで2023年、ベトナムでは24年から展開。空調需要増と火力発電に依存した高い電気料金に対応する。

 中国、韓国製品のASEAN進出も著しいが日系顧客は空調などに日本製を採用する志向がある。

 日系工場の新設・増設時をターゲットに省エネ提案とあわせて空調のシステム受注拡大を図る。

 インド市場については、重要だが地元企業が既に土台を築いており、情報を収集しながら「慎重に取り組む」(守屋専務)。