2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 Vicor 堂園雄羽社長

堂園 社長

車載向け電源モジュールを量産

 当社は米国マサチューセッツ州に本社を置く、電源コンポーネントの専業メーカー。独自の技術力を生かした電源の開発・製造・販売を行っており、①コンピューティング&コミュニケーション②オートモーティブ③インダストリアル④航空宇宙・防衛--の4事業部門体制で事業を行っている。数百Wクラスから大電力出力タイプまで幅広い製品をそろえ、顧客の要望に応える高付加価値の製品を供給している。

 生成AI(人工知能)の拡大を背景に、データセンターやHPCへの投資拡大もあり、2024年度(12月期)のグローバルでの売り上げは堅調だった。開発を進めてきた車載向け電源モジュール量産を24年10月に発表し、今後本格的に車載向けビジネスを加速させる。

 発表した車載向け電源モジュールは「BCM6135」「DCM3735」「PRM3735」の3製品。自動車OEMおよびTier1が25年から量産する48VのEV(電気自動車)システム向けに供給する。車載電源アーキテクチャーを革新する、高い電力密度・小型・高効率を実現している。

 BCM6135は変換効率98%、出力電力2.5kWの中間バスコンバーター。400または800Vの高電圧を48Vに降圧する。海外向けで開発が進む48Vシステムだが、日本国内でも12Vバス電圧から48Vへの移行を見据えた動きが出始めている。国内向けの開発動向を注視しながら、顧客との共同開発を継続していく。

 日本市場のインダストリアル分野の需要も高まっている。半導体製造装置やテスターのほか、工場内の自動化に関わるアプリケーションの小型化・高効率化に貢献している。

 25年度もインダストリアル、航空宇宙・防衛、コンピューティング&コミュニケーション事業でのビジネス拡大に注力する。車載同様に電動バイク、自律走行トラック、重機など電動化開発が盛んな分野でも48Vや800V/400Vのような高電圧のソリューションの要望に応える。

 4事業部門がターゲットとする市場で高い価値を提供するため、サポート体制も強化。きめ細やかな技術サポートを通じて、顧客とのパートナーシップを強化するとともに、技術革新に貢献したい。