2025.03.12 日本電子、理科教育を応援

電子顕微鏡の仕組みを学ぶ(昭和女子大学付属昭和中学校)

電子顕微鏡の操作を体験(入間市立藤沢南小学校)電子顕微鏡の操作を体験(入間市立藤沢南小学校)

電子顕微鏡の体験型授業
通算900回 観察の楽しさ伝える

 日本電子は、子どもたちに科学の楽しさを伝える理科教育支援活動として、自社の卓上走査電子顕微鏡を持ち込んだ出前授業を行っている。2007年からこれまで約900回開催した。今後もSDGs目標の達成に貢献できる重要課題として推進していく考えだ。

 当初、本社のある東京都昭島市や近隣の小学校などで実施していたが、11年に発生した東日本大震災の復興支援として東北地方の小学校でも実施。その後は中学生や高校生、一般向けなど実施エリアや対象を拡大して継続している。

 小学校での授業は、電子顕微鏡の仕組みを学ぶ講義、アクリル樹脂で固めた昆虫や植物の実などの標本スケッチ、3Dメガネによる電子顕微鏡写真の立体的な観察、植物の花粉や昆虫の体などを観察する電子顕微鏡の操作体験と4段階で進む。昆虫などを近くで見る機会が少ない子どもたちに、さまざまな方法により詳細を観察してもらうことで、ミクロの世界に興味が湧くよう工夫を凝らしている。

 実施後、教諭からは「インパクトのある授業だった」「体験をきっかけに自分で調べたいことがあふれてきたようだ」、子どもたちからは「植物に興味が湧いた。自分で調べてみたい」「肺をイラストで見たことがあったが電子顕微鏡写真で見て驚いた」「探究心を深めることができて楽しかった」など、喜びの声が上がる。

 教育委員会からは、高性能な研究機器に触れる機会をつくり、科学への興味を育みたいと共催依頼が増えている。

 出前授業のほかには社会貢献活動として、1968年からは電子顕微鏡を使う若手研究者を支援する風戸研究奨励会、19年からは高校生を対象とした読売新聞社主催「ノーベル受賞者を囲むフォーラム~次世代へのメッセージ」、21年からは科学技術振興機構と駐日ポーランド共和国大使館が共催する「羽ばたく女性研究者賞(マリア・スクウォドフスカ=キュリー賞)」に協賛している。

 創業75周年を迎えた昨年は、電子顕微鏡の歴史や仕組み、活用場面を分かりやすく解説した文春まんが読みとくシリーズ「電子顕微鏡 ここが知りたい!」の制作に協力、3万部を発行し、全国の小学校や公立図書館、海外の日本人学校などに配布した。

 同社は1949年に電子顕微鏡の開発会社として発足。55年に国産電子顕微鏡として初の海外からの受注に成功。66年には国産初の走査電子顕微鏡の商用機を開発した。現在は世界30カ所以上に拠点を置き、130カ国以上の大学や研究所で装置が使用されている。

 電子顕微鏡と同様にノーベル賞受賞者の研究を支える核磁気共鳴装置などの理科学・計測機器のほかにも産業機器や医用機器の事業を営む。事業活動とESG活動の両面から社会の持続的発展に貢献していく。