2025.05.29 【電波新聞社 全国地域店アンケート】省エネ家電・設備の販売動向
主力商品は「エアコン」
電波新聞社は全国の地域店を対象に省エネ家電・設備のアンケートを行い、55店から回答を得た。物価高の影響で省エネ家電・設備への関心が高まっている。節約できる光熱費を提示することで、補助金を追い風に省エネエアコン、冷蔵庫、エコキュートの販売が伸長しそうだ。温暖化で家の中での暑さ対策、寒さ対策が必須となっており、エアコンは年中商品になりつつある。これら省エネ商品の販売と同時に、オール電化やリフォームを提案する地域店も増加している。消費者は光熱費の削減に関心が高くなっており、夏に壊れやすくなるエアコン、冷蔵庫、冬を見越して暖房能力が高いとされながらも節電効果が期待できるエアコン、エコキュートなど、省エネ家電・設備の販売増加に拍車がかかりそうだ。
全売り上げの「2~3割」
Q1では2024年10月から25年3月までの省エネ家電の販売状況を尋ねた。最も多かった回答は「11~20台」で、次いで「21~30台」「10台以下」「31~40台」「71台以上」と「51~60台」「41~50台」「61~70台」と続いた。
Q2では、25年4月から9月までの省エネ家電の販売目標を尋ねた。最も多かった回答は「11~20台」で、次いで「10台以下」「71台以上」「21~30台」「31~40台」「51~60台」「41~50台」と続いた。
Q3では、24年10月から25年3月までの省エネ設備の販売状況を尋ねた。最も多かった回答は「10台以下」で、次いで「11~20台」「21~30台」となった。
Q4では、25年4月から9月までの省エネ設備の販売目標を尋ねた。最も多かった回答は「10台以下」で、次いで「11~20台」「71台以上」と続いた。
Q5では、省エネ家電・設備の全売り上げに占める割合を尋ねた。「21~25%」が最も多く「26~30%」と「11~15%」「5~10%」「31~39%」の順になった。
Q6では、省エネ家電・設備の提案で重視していることを尋ねた。「節約できる光熱費の提示」と回答する店が目立った。2番目に多かった回答として「補助金の活用」、3番目が「暑さ対策」、4番目が「寒さ対策」となった。そのほか「清潔」「割引」「地域商品券の活用」「キャッシュレス決済」「脱炭素の提案」などがあった。
増販「7~8月に最も期待」
Q7では、省エネ家電の増販に最も期待している時期を尋ねた。「7~8月頃」が半数以上と最も多く、「4~6月頃」「12~3月頃」「9~11月頃」と続いた。「特になし」と年中販売に注力している店もあった。
Q8では、省エネ設備の増販に最も期待している時期を尋ねた。「7~8月頃」が約4分の1と最も多く「特になし」「9~11月頃」「4~6月頃」「12~3月頃」と続いた。
Q9では、省エネ家電・設備の主力商品を尋ねた。「エアコン」が最も多く、次いで「冷蔵庫・冷凍庫」「エコキュート」「LED照明」「洗濯機」などとなった。
Q10では、今後、積極的に利用したい補助金について尋ねた。「エコキュート」が最も多く、「住宅省エネ(既築)」「自治体」が続いた。
Q11では、今後積極的に販売したい省エネ商品の商品名と特徴を尋ねた。「エアコン」は、「省エネ能力が高いタイプ」「電気代が安くなる」「暖房能力が高い」「冷暖房能力が高い」また「2027年問題に向けて」という意見もあった。「エコキュート」は「補助金が利用できる省エネ商品」、「冷蔵庫」は「壊れるまで使う人が多く、省エネの違いを提案したい」という意見もあった。また「LED照明」は蛍光灯に代わる照明として提案していくという考えだ。その他「パワコン」「V2H」「内窓」「塗装」などがあった。リフォームで省エネ家電・設備の効果を最大限に引き出す環境づくりを行うとともに、防犯・防災意識の高まりを受けた提案を重視しているようだ。
Q12では、省エネ家電・設備とともに提案していることを尋ねた。「オール電化」が最も多く、次いで「リフォーム」「見守り」「蓄電池」「防犯・防災」「太陽光発電」と続いた。昼在宅が増えたため、太陽光を取り付けたいと希望する声もある。省エネなどによる光熱費の削減とともに、生活を快適に安全安心に過ごすための提案を意識する回答も目立った。
Q13では、省エネ家電・設備の販売に物価高は影響しているか尋ねた。「している」が75%で「していない」と「どちらでもない」を大幅に上回った。光熱費を含む物価高の影響で省エネ家電・設備のニーズが高まっていることが分かる。
Q14では、今後、省エネ家電・設備の増販に期待できそうか尋ねた。半数以上の回答店が「期待できる」を選択している。「どちらでもない」「期待できない」という意見も目立った。
Q15では、その理由を尋ねた。期待できそうである理由は「物価高」「省エネの意識が高まっている」「温暖化対策」「補助金の活用」「電気代が高くなってきているため問い合わせがあった時に地域の補助金があると決まりやすい」「補助金や電気料金などの話をからめて提案できる」「景気が上向いている」など。一方では「買い控え」「物価高騰で財布の紐がかたくなりそう」「食料品の値上げが影響している」「家電自体の価格が上がっている」「需要低迷」「安いものしか売れない」「経済が不安定」「2027年問題」と今後を懸念する声もみられる。
Q16では、省エネ商品などに関して販売の現場で実感していることを尋ねた。
「家電に関して、地方により補助金制度のばらつきがある。国が主体となり、補助金制度の取り組みをしてほしい」「省エネ基準が高い」「商品の価格が高く、断念するお客が多い」「標準品が安過ぎて、省エネ商品の購入を勧めた時にギャップを感じられてしまう」「納得いく説明力が必要」「お客の省エネに関する意識は上がってきている」「しっかり説明できれば、金額に関係なく購入してくれる」「タイムリーな補助金の支給がほしい」「補助金の利用が販売にプラスになっている」など。電気代高騰が影響し、節電意識が高まり、省エネ商品を購入する動機の一つになっているとみられる。補助金の利用を追い風に省エネ商品の販売を伸ばしている店舗もある。
一方、電気代やガソリン代以外の米を含めた食料品など生活必需品の高騰が生活を直撃し、省エネ商品に手が出ない高齢客などもいるようだ。自治体の補助金は予算規模や実施期間もまちまちで利用しづらいところもある。高価格な省エネ商品の販売について今後を懸念する声もあった。