2025.06.02 「故人の想い出を映画のワンシーンに」 アスカネットがAI活用の動画生成サービス
4日からサービスを開始する「snapCINEMA」
葬儀社向け遺影写真のデジタル加工などを手がけるアスカネットは、AI(人工知能)で故人の表情や仕草などを再現して映像に仕上げるサービス「snapCINEMA(スナップシネマ)」の提供を4日に始める。故人の写真を生かしたサービスで、「映画のワンシーン」のような臨場感と感動をもたらす動画を制作できる。
今回のサービスは、AI技術と遺影写真の加工ノウハウを融合させて実現した。葬儀社や互助会を通じて提供する。
具体的には、残された故人の写真から、2~3分の映像を生成する。遺族から預かる写真は5枚が基本だが、枚数の相談も可能だ。枚数分のシーンが作成される。用途は、葬儀や法要での上映のほか、家族間での共有を想定している。
商標利用が可能な画像と音楽、テンプレートのみを使い、生成された映像は全て人の目で最終確認する。意図しない表情や不自然な動きが含まれていないか、専門スタッフが一つ一つ丁寧に確かめるという。
新型コロナウイルス禍をきっかけに規模を縮小した家族葬やオンラインでの参列が増える中、映像や写真を使った「静かな追悼」への関心が高まっている。こうした動きを踏まえて同社は、テクノロジーの力で葬送文化を支える「葬テック」の取り組みを進めてきた。
スマートフォンやビデオカメラが普及する以前に生きた世代の多くは、日常の様子や笑顔を動画として残すことができなかった。そこで同社は、故人の自然な動きをAIで再現して「ぬくもりを感じる映像」に仕上げることにした。
フューネラル事業部オペレーショングループ所属で、サービス発案者の安部裕之課長は「AIを活用して昔の写真から動画を生成することで、故人の表情や仕草、当時の空気感までを再現できる、これまでにない新しい追悼のかたちを実現している」とコメントしている。
上場企業としてのコンプライアンスや情報管理体制のもと、肖像権や著作権などの法令順守と、遺族への心情への配慮の両立を徹底するという。