2025.06.04 【JISSO PROTEC/JPCA Show特集】電子回路基板動向 次世代技術開発、設備投資活発化

 電子回路基板は、自動車、情報通信機器、産業機器などのアプリケーション向けに、技術の高度化が進展している。特に近年は、CASEをメガトレンドとした自動車の高機能化、5G通信の広がり、AIサーバー/データセンターの高速大容量化などが電子回路基板技術を進化させている。半導体の微細化に伴うパッケージ基板技術の高度化も進む。

 経済産業省生産動態統計によると、電子回路基板の国内生産額は2020年から22年まで3年連続で増加。特に21年は新型コロナからの経済回復により前年比33.2%増の6482億8000万円と大きく成長した。22年も同6.7%増の6931億3100万円と1桁台後半の伸びとなった。23年と24年の電子回路基板生産額は顧客在庫調整の長期化や自動車市場の減速などにより減少したが、電子回路実装基板の生産額は23年、24年もプラスを確保している。

 25年の電子回路基板市場は、高機能モバイル機器市場の拡大やADAS/自動運転技術の高度化、産業機器市場の反転、半導体需要の増大などにより、緩やかな回復が予想されている。

 そうした中で、電子回路基板各社は、次世代ニーズに向けた技術開発の強化とともに、生産能力拡大のための設備投資を活発化させている。

 電子回路基板の技術開発では、自動車向けは電動化によりインバーター、DC-DCコンバーター、オンボードチャージャー(OBC)、バッテリーマネジメントシステム(BMS)などの高放熱、大電流を要する基板需要が拡大しており、メタル基板、厚銅基板、銅インレイ基板、スルーホール厚付け銅めっきなどの技術が適用されている。さらに、統合ECU化に向け、高速伝送基板の技術開発も進展している。

 スマートフォン、モジュール、半導体パッケージ用は、高密度技術が一段と進んでいる。スマホ向けのエニーレイヤー基板は、L(ライン)/S(スペース)が40マイクロメートル/40マイクロメートル以下の微細化技術を適用した製品へと高度化している。さらに、30マイクロメートル/30マイクロメートル以下の微細パターン化が可能なMSAP工法や20マイクロメートル/20マイクロメートル技術の導入も進む。

 モジュール基板では、多層板の内層にICや抵抗器、コンデンサーなどの部品を埋め込み、基板表面にも部品を実装することで基板面積を小型できる部品内蔵基板技術も注目されている。