2025.06.05 【開発のキセキ㊤】エクセディ スマートロボットサービス「Neibo」 「スマートフォン感覚」のロボットで工場や倉庫の省人化後押し
三浦氏
スマートフォンのような感覚で手軽に導入し機能を拡張できる自律走行のスマートロボット「Neibo(ネイボ)」が、製造・物流業界の省人化を後押しする救世主として注目を集めている。仕掛けるのは駆動系部品メーカーのエクセディで、クラウド経由で多彩なシステムと連携できる強みも持つ。発案者でスマートロボットプロジェクトのプロジェクトディレクターを務める三浦良太氏を取材し、ロボット開発の舞台裏に迫った。
3つの知見を融合
「世の中で絶対に必要になるロボットを開発したかった」。三浦氏は、AGV(無人搬送車)や自動車部品製造設備の自社開発に加えて、IoT(モノのインターネット)の開発にも携わってきた経歴の持ち主だ。その3つの知見を組み合わせて「何ができるか」を考えた結果、行き着いた答えが今回のスマートロボットだった。
ロボットの開発を始めたのは2022年4月。ロボットには「搬送」「コミュニケーション」「見守り」などをマルチでこなすことが求められていた。しかし、ロボットに任される作業は限定され、費用対効果が生み出しにくい。現場改善をする際も、自ら動きを調整することが難しく、メーカーに依頼してロボットの動きを変えるケースも少なくなかった。
生産技術に関わっていた三浦氏はそうした課題を実感していた。「現場はロボット中心で改善を進めるか、ロボットを使わず改善するかという二択
導入のしやすさ追求
そこで三浦氏は、ロボット導入の是非で頭を悩ませる企業のニーズに応え、導入とカスタマイズのしやすさに徹底的にこだわったネイボを開発することにした。
具体的には、クラウドサーバーを介し、導入後もさまざまなシステムと連携できる。
ソフトウエア同士をつなぐAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じて外部と連携することも可能だ。例えば、レストランのオーダーシステムにロボットのAPIを組み込むと、システムに接続する端末からロボットを操作できる。
加えて、ノーコードアプリを利用できることも売り。このため、専門的な知識が無くてもロボットの動きを自由にカスタマイズし、利用シーンに合わせて柔軟に運用できる。
三浦氏は「ネイボはスマートフォンのように扱える。ロボット自体はシンプルだが、アプリで多様に動くことができるクラウド型のロボットだ」と強調する。
まさにプログラムで実現してきたロボットの進化を、クラウドで促せるようにしたわけだ。ロボットの開発を始めた当初から、荷物の搬送や、接客サービスを担うロボットをクラウド型で作ることを決めていたという。
2機種で市場開拓
ロボットは、2機種から選べる。1つが工場や倉庫で重量物を運ぶ役割を担える「パワフルタイプ」で、けん引重量は最大600kgを誇る。2つ目が21.5インチの縦型モニターを備えた「マルチタイプ」だ。このタイプは狭い通路で進路変更が容易にできるため、接客や警備などの多用途に向いている。
中でも荷運びに適したロボットを開発した狙いについて三浦氏は、工場や倉庫などで深刻化する人手不足の問題に触れ、「ロボットが必要なことは明らかだった」と説明。続けてマルチロボットにも言及し、「配膳に限らず、人と関わるさまざまな商業施設などで使ってほしい」と述べた。中国製が先行する領域だが、チャレンジャー精神で挑んだ。
顧客目線で使い勝手を高めたネイボが活躍する舞台は、一段と広がろうとしている。 (つづく)