2025.06.19 プラスチック分析装置、キヤノンが卓上型開発 19日から受注開始
卓上型プラスチック分析装置「TR-A100」
キヤノンは、黒色を含めた複数の異なるプラスチック片の材質を一括判別する卓上型プラスチック分析装置「TR-A100」を開発し、19日から国内で受注を開始した。
TR-A100は、レーザー照射による散乱光を分析するラマン分光法と、同社が持つ高精度なレーザースキャナーを組み合わせて開発した。黒色のプラスチック片は散乱光が少ないため、レーザー照射時間を十分に確保する必要があるが、「樹脂に長くレーザー光を当てると劣化してしまう。レーザー照射点を揺動することで熱を逃がし、プラスチックにダメージを与えない」(計測機器事業推進センターの石井真史主幹)とする。
計測速度は約100個のプラスチック片当たり約100秒で、正識別率は99%以上を誇る。価格はオープンだが、本体価格で約1800万円を想定。数年後にグローバルの各拠点で年間10~20台の販売を見込む。
同センターの萩原裕之所長は「お客さまは科学的な検査手法を求めている。(廃棄物を再資源化する)『静脈産業』におけるトレーサビリティー、少なくとも品質担保を行ってもらいたい」と話す。
新製品は分析結果のフィードバックにより回収・選別条件の最適化やさらなる高純度化が見込める。同社は使用済みの製品や部品を再利用するマテリアルリサイクルの最大化に貢献する構えだ。