2026.03.04 富士通、バルセロナ港で海洋デジタルツイン実証 AIと水中ドローンで海底環境を可視化、自然再生を支援

海洋デジタルツイン構想海洋デジタルツイン構想

 富士通は3日、スペインのバルセロナ港のイノベーション推進組織「BCN Port Innovation Foundation」と、海洋デジタルツイン技術を活用した実証実験を2026年中に実施することで合意したと発表した。海洋環境の再生や生物多様性の保全、ブルーエコノミーの促進を目的に、海洋の状態をデジタル空間上に再現し、変化を予測する技術の有効性を検証する。

 実証では、富士通のAI(人工知能)と高度な分析技術を組み合わせた水中ドローンの自動航行制御技術を用いて、海底環境の高解像度データを効率的に取得する。取得したデータを基に海底の状態を把握し、可視化や定量化を行うことで、港湾の生態系の状況を詳細に把握する。

 具体的には、海藻などの植生分布を解析し、植生被覆を基にしたバイオマスやブルーカーボンの推定を行う。これにより海底環境の空間的な分布や特性をデータとして把握するほか、港湾の生物多様性に関する情報を一元管理する統合デジタルプラットフォーム基盤を構築する。継続的なモニタリングを通じて、生態系の変化を長期的に分析できる環境を整える。

 地球温暖化や海洋汚染の影響により海洋生態系の劣化が世界的な課題となる中、欧州連合(EU)では2024年に自然再生法が採択されるなど、海洋環境の保全と回復に向けた取り組みが進んでいる。こうした背景を踏まえ、港湾活動と自然環境保全の両立を図る技術として海洋デジタルツインへの期待が高まっている。

 両者は実証結果を基に、環境対策の効果を事前に検証するシミュレーション機能の追加も検討する。港湾当局が保護すべき区域や再生に適した区域を特定できるようにし、持続可能な港湾インフラと運営の設計を支援していく考え。富士通は今回の取り組みを通じ、海洋生態系の保護と気候中立の実現に資する技術開発を進めていくとしている。