2021.01.26 「太陽光生活」を支援、デルタ電子ライフスタイルなど、研究所を開設

開設した太陽光生活研究所

研究所のロゴマーク研究所のロゴマーク

 電源機器製造のデルタ電子(東京都港区)は、国が目指す「50年カーボンニュートラル」を受けて、兵庫県赤穂市に「太陽光生活研究所」を開設した、と発表した。太陽光発電を採り入れた新たな生活を考察、提案するワークショップ施設にする。太陽光で暮らしを豊かにする「太陽光生活者」を支援していくという。

 同社が運営するメガソーラー「赤穂エナジーパーク」が1月、発足から5周年を迎えた記念事業として、パーク内に研究所を開設した。パークの2階建て管理棟を研究所の拠点とする。会議室やリビングなどがあり、電気や情報技術などを専門とする社員約5人が所員を兼務する。

 同社は、パワーコンディショナや蓄電池、EV(電気自動車)充電器などのメーカーでもあり、同パークでは新製品テストなどに活用してきた。研究所での議論を通じて、社内的な商品企画、開発に役立てる狙いもある。

 また、研究所では、将来のさらなる太陽光発電の普及を見据えて、より効率的な太陽光エネルギーのソリューションを開発、発展させていく。宿泊施設が整備され、共同生活しながら研究活動もできるという。太陽光モジュールや架台メーカーなど業界内の水平方向で協力を進めるほか、地域住民らと連携する場ともしたい考えだ。

自然エネで生活を豊かに

 一方、研究所では、太陽光発電の普及で変化する社会生活も重視する。

 化石燃料による大量消費を続ける「20世紀人」に対し、急激な気候変動危機を受けて、「サステナブルな暮らしやコミュニティを実践する人々」を「21世紀人」と定義。太陽光を「生活や社会を豊かにしていくエネルギー」と捉え、自然エネルギーを積極的に導入して豊かな生活を実現しようとする人々を指す「太陽光生活者」というコンセプトを提示している。21世紀の太陽光生活者を支援し、増加させることを研究所の活動目的とする。

 所長を務めるデルタ電子の高嶋健氏は「決して時代に遅れるわけではなく、情報技術などを駆使しながら、人間関係も広げていくライフスタイルが生まれてくる。こうした社会を支えることができる太陽光ソリューションのあるべき姿を模索したい」と語る。

 研究所が、太陽光生活の先駆者の一人として協力しているのが、長野県最北部の飯山市に住む雑誌編集者、尾日向梨沙さんだ。

 20年春に神奈川県から、豪雪地として知られる飯山市に移住。自宅を「雪国飯山ソーラー発電所」と命名し、初めて太陽光発電設備を取り付けて、家産家消の生活を過ごしている。

 その暮らしぶりにスポットを当てるため、立ち上げた研究所のホームページ(https://solarpoweredlife.jp)には、尾日向さんが日々のナチュラルライフを綴ったエッセーを、美しい自然風景写真とともに掲載している。高嶋氏は「場を作って、間口を広げ、周りの人が入りやすくすれば、できることが広がっていくと期待している」と話している。

 ホームページでは他にも太陽についての知識や、太陽光発電の技術的な議論などをまとめた記事も情報発信している。