2022.03.18 【九州・山口産業特集】DELIAEV活用の次世代EMSを創出

中村 代表理事

大阪でV2Xシステム構築

 DELIA(ブロックチェーンによる分散エネルギー情報基盤アライアンス、福岡市早良区)は、電気自動車(EV)内蔵の蓄電池を活用した次世代エネルギーマネジメントシステム(EMS)の創出を推進している。効率よく再生可能エネルギーを活用する方法を確立し、全国の再エネ導入やEVシフトを後押しする狙いだ。

 地産地消エネルギー管理システム「HyperDeMS」は大阪からの委託事業で稼働予定だ。設置した太陽光パネルで創出した電気をEVの蓄電池に貯め、運転や非常時の蓄えとして活用するV2Xシステムを構築した。

 同システムは、ブロックチェーン技術を応用した「MicroChainPRO」を活用している。EV蓄電池の充放電などの動きをリアルタイムで記録してトレーサビリティーを確保。関係者による情報共有を容易にすることで地域マイクログリッドを推進する。ETP(電力移動証明)による新しいビジネスモデルの構築も目指す。

 東海地方の住宅で同じシステムを稼働しており、太陽光パネルで発電した電気で、実際にEVを走行させるなどの実験も行っている。

 生活の中で使い勝手を体感することで「何が必要なのか、感じ取りながらシステムを作っている」と中村良道代表理事。ソフトウエアの動作を24時間見守り、ユーザー目線での改良を重ねている。

 大阪への納入後も開発とアップデートを続ける。今後、2台のEVを接続して電力を融通し合う実験も行う予定。1台目の蓄電池の容量が減少した際に、2台目で補えるようにすることで、システムの信頼性を高める狙いだ。

 防災・減災効果を向上させるため、1カ月の長期停電を想定した実験も行う予定。中村代表理事は東海地方の住宅の太陽光発電で創出した電力のみで生活し、課題の発見とシステム開発に生かす。

 DELIAは現在、七つの企業が正会員として参加しており、中村代表理事は「システムの完成度を高めるため、仲間を増やしたい」と話した。