2022.06.28 東芝、物言う株主も取締役に株主総会で13人の選任案可決
東芝の定時株主総会会場に入る株主たち=28日、東京都新宿区
東芝が28日に東京都新宿区で開いた定時株主総会で、取締役候補者全13人の選任案が過半数の支持を得て可決された。「アクティビスト(物言う株主)」出身の二人が含まれたことで、物言う株主の影響力がさらに増す可能性がある。新たな取締役体制が固まったことで、株式の非上場化を含めた経営再建案の検討が本格化することになる。
今回選任された物言う株主出身の2人は、大株主の米資産運用会社ファラロン・キャピタル・マネージメントの今井英次郎氏と、米エリオット・マネジメントのナビール・バンジー氏。これにより東芝の取締役は、8人から13人に増加。3月に社長を引き継いだ島田太郎氏が新たに取締役に就き、暫定的に取締役会議長を務めていた前社長の綱川智氏は退任する。
2人の選任を巡っては、社外取締役の綿引万里子氏(元名古屋高裁長官)が反対の立場を表明していたが、総会で「今回の取締役候補は多様性や公平性、バランスの良さが満たされていると(多くの株主から)見えるのだろうか」と改めて異議を唱えた。
一部の株主からは、利益相反や独立性という観点から2人の選任を疑問視する意見が浮上。総会後、選任案に賛成した50代の元会社員は2人の起用に関して、「会社がいい方向に変われるなら『一つの道』としてあり得る」と述べた。
総会で島田社長は議案の採決に先立ち、「提案している13人の取締役候補者は、企業価値向上に向けた戦略的選択肢の検討とガバナンス(企業統治)改善という観点から最善と考えている」と賛成を呼び掛けた。