2022.10.20 三菱電機、品質不正問題の最終報告 22製作所で累計197件の不正判明

漆間社長CEO(中央)

 三菱電機が20日、品質不正問題の最終報告を公表し、22製作所で累計197件の不正の事実が判明した。4回目となる今回の報告により、外部専門家で構成する調査委員会(木目田裕委員長)は解散。一連の不正問題に片を付ける形となった。ただ、最終報告を提出する1週間ほど前に調査委員会に新たな情報提供があるなど、漆間啓執行役社長CEOは「シャットアウトするつもりは全くない」と話す。会見の主な一問一答は以下の通り。

―劣化してる風土を改善するとはどういうことか。

 漆間社長CEO 私が社長に就任した時、上にモノが言えないのを言えるようにしよう、失敗を許容しよう、課題を共有して共に解決しよう、こうした風土が劣化していた。これらを実現するために(改革の意見を持つ従業員で構成する)「チーム創生」を立ち上げた。変えていかないと会社の再生はない。

―関連会社の調査は。

 漆間社長CEO 関係会社の調査は9月2日から開始し、既に40社強診断してきている。当社の知見も増えているため、それを踏まえて関係会社の調査を進めていく。

 中井良和常務執行役CQO品質改革推進本部長 出資比率50%以上の関係会社から、設計、検査、一部保守といった現場を持っている会社は41社あった。9月末までに1回目の診断を終えている。経験を踏まえ、62の診断項目を決めてチェックリストにし、自己診断してもらっている。その結果を基に、訪問して確認し、リスク判定をしているところだ。リスクがありそうなところは、アンケート調査を行う。今年度末までに完了し、その後は海外の関係会社も検討していく。

―調査委員会への申告が直近まで続いている。

 漆間社長CEO 就任してからも不正が続いていたのは重く受け止めなければならない。これでシャットアウトするつもりはない。継続し、ちゃんと拾い上げて対処していく。

―自動車機器事業で不正が多い。

 漆間社長CEO 大変厳しい状況。不適切行為を見ると、開発に対するリソース配分がしっかりできていなかった。これを解消することと、電動化領域にお客さまが移行しようとしている。それにも対応しつつ、既存の内燃機関にも対応する。両方をしっかり考えながら取り組む。

―三つの改革を定着させるスケジュールは。

 漆間社長CEO 組織風土は3年のタイムラインを作っている。品質風土は、今やっていること、新たに考えることを常に出しながら取り組んでいる。ガバナンス改革も同じだ。

 従業員が明るく生き生きと取り組んでいくのが一番。デジタル領域に移行していくのも、若い人のアイデアを投入しながらやる。そのためには改革が必要。

―通常、こうした調査は3、4カ月で終わる。1年4カ月かかった理由は。

 漆間社長CEO 22の製作所と付随する分工場があり、この調査に時間がかかった。当初は4月末までをめどにしていたが、調査を進める中でヒアリング対象が拡大していった。

 もう一つは、昨年10月に発表した際、定期的に報告したいと話していた。従業員が抱えている後ろめたい気持ちを全て出し、その対応策を出して前を向いてやっていけるようにしたかった。従業員に話を聞くと「調査は大変だった。二度と起こしたくない」などと話していた。着実に撲滅につながっていく。

―柵山正樹前会長がシニアアドバイザ―を辞任する意向を示した。

 漆間社長CEO 今回の調査報告書で柵山の状況が分かり、昨日、本人に伝えた。その際、課長時代のこととはいえ、辞任したいと申し出があった。